動画
オフィシャル・リリック・ビデオ
MEOVVのエラ・グロスによるカバー
テキサス州オースティンでのライブパフォーマンス
曲情報
「happier」(ハッピアー)は、アメリカのシンガーソングライター、オリヴィア・ロドリゴによって作詞・作曲・録音された楽曲であり、彼女のデビューアルバム『Sour』(2021年)の8曲目として収録された。2021年5月21日にGeffen Recordsからリリースされ、プロデューサーはダン・ニグロが務めた。ロドリゴによると、この楽曲はエド・シーランの「Perfect」から歌詞と楽器構成の両面でインスピレーションを受けたという。
音楽的には、「happier」はドゥーワップとフォークポップの要素を取り入れたピアノバラードであり、深みのあるベースサウンドが特徴となっている。歌詞では、別れた相手が新しい恋愛をしている中で、相手の幸福を願いつつも、自分といた時ほど幸せではないことを望むという複雑な感情が描かれている。楽曲は『Sour』のリリース後に高い評価を受け、アルバムのハイライトとして多くの音楽評論家から称賛された。
背景
「Happier」は、オリヴィア・ロドリゴのデビューアルバム『Sour』に収録された11曲のうちの1つであり、彼女がInstagramにデモを投稿したことで音楽プロデューサーのダン・ニグロの関心を引いた。この出来事がきっかけとなり、楽曲が正式に制作されることとなった。2021年4月1日、ロドリゴは自身のデビューアルバムが5月21日にリリースされることを発表し、4月13日にはアルバムタイトルが『Sour』であることと収録曲のリストを公開した。その結果、「Happier」がアルバムの8曲目として収録されることが決定した。楽曲のリリースと同時に、YouTube上でリリックビデオも公開された。
作曲と構成
Sony/ATV Music Publishingがmusicnotes.comで公開した楽譜によると、「Happier」はF♯メジャーキーで作曲されており、テンポは毎分56ビートである。ロドリゴのボーカルレンジはF♯3からC♯5までをカバーしている。
本楽曲は、1950年代のドゥーワップスタイルとフォークポップの要素を組み合わせたピアノバラードであり、深みのあるベースサウンドが特徴的である。ロドリゴは2019年にこの楽曲を作曲し、ダン・ニグロがプロデュースを手がけた。曲の長さは2分55秒である。歌詞の内容は、女性同士の対立という固定観念に疑問を呈しつつ、元恋人と新しい恋人の幸せを願いながらも、自分といた時よりは幸せであってほしくないという複雑な感情を表現している。「I hope you’re happy, but don’t be happier.(あなたが幸せであることを願うけれど、私といた時ほど幸せではないでほしい)」という歌詞が楽曲のテーマを端的に表している。
評価
Varietyのクリス・ウィルマンは、「Happier」をアルバムの「ベストソング」と評し、「巧妙かつリアルな歌詞のひねりが効いている」と述べた。Teen VogueのP・クレア・ドッドソンは、ロドリゴの楽曲の中でも「最も強い」作品の一つと称賛した。また、Rolling Stoneのアンジー・マルトッチオは、本楽曲を「アルバムのキラキラとしたハイライトの一つ」と評している。
商業的成功
アメリカでは『Sour』のリリース後に「Happier」はBillboard Hot 100に15位で初登場し、アルバム収録曲全11曲とともにチャート入りを果たした。翌週には20位に下降したものの、Billboard Global 200チャートでは14位にランクインした。オーストラリアとカナダでは15位、ニュージーランドでは14位にランクインした。一方、イギリスの公式シングルチャートにはランクインしなかったが、UK Streaming Chartでは18位に到達した。また、ギリシャ(29位)、ノルウェー(28位)、ポルトガル(19位)などでもトップ40入りを果たした。
歌詞の意味
この曲は、別れた相手が新たな恋人と幸せになっていく様子を前に、語り手が強い葛藤と自己嫌悪を抱える心情を描いている。表向きには相手の幸福を願いながらも、その幸福がかつて自分と共有したものを上回ってほしくないという矛盾した願望が中心にある。新しい相手の魅力を理解しつつも、比較してしまう衝動を抑えられず、その行為が自分の未練の深さをさらに浮き彫りにする構造になっている。
語り手は自分の執着を自覚しており、理性では手放すべきだと分かっているにもかかわらず、感情がそれに追いつかない。相手がかつて語った愛の言葉が今は別の誰かに向けられているという事実が痛みとなって響き、過去への執着と現実への苦い受容が折り重なる。全体として、前に進むことの難しさと、愛が終わった後に残る複雑な感情の揺らぎを率直に描いている。



