【曲解説】Pet Shop Boys – New York City Boy

動画

曲情報

「New York City Boy」(ニューヨーク・シティ・ボーイ)は、イギリスのシンセポップ・デュオ、Pet Shop Boys(ペット・ショップ・ボーイズ)の楽曲で、1999年9月22日に7作目のスタジオ・アルバム『Nightlife(ナイトライフ)』(1999年)からの2枚目のシングルとしてリリースされた。

イギリスではUKシングルチャートで最高14位を記録したほか、多くのヨーロッパ諸国でもチャートインし、スペインでは3位、フィンランドとハンガリーでは4位を記録した。アメリカではBillboard Hot Dance Club Playチャートで1位を獲得し、Billboard Hot Singles Salesチャートでは53位となった。

シングルのB面の一つである「Casting a Shadow」は、1999年8月11日の皆既日食の際にBBC Radio 1のために書かれた楽曲で、CD2にはイギリスでの日食の映像を使用したこの曲のビデオが収録されている。

この楽曲のストリングス・アレンジはヴィンセント・モンタナ・ジュニアによって手がけられ、彼のSalsoul Orchestraによる「It’s Good for the Soul」の要素が取り入れられている。また、ドナ・サマーによる「MacArthur Park」のサンプリングも使用されている。

批評

Pop Rescueは、「ディスコが遠慮なく炸裂し、2枚目のシングル『New York City Boy』では、初期の『Your Disco Needs You』のような雰囲気が漂っている。ビデオはキャンプ調で、全編にわたって男性のコーラスが入っている」と評している。

ミュージックビデオ

この曲のミュージックビデオには、ニューヨークのナイトスポットであるスタジオ54が登場し、イギリスの監督ハワード・グリーンハルシュが監督を務めた。

歌詞の意味

この曲はニューヨークという巨大な街を背景にした「若さの解放感」を全面に押し出した内容になっている。息苦しい家庭や退屈な日常から抜け出し、街に飛び込むことで初めて自分が生きていると感じられるという感覚が描かれる。雑多で騒がしく、誘惑も刺激もあふれたニューヨークを、そのまま「自分を肯定してくれる場所」として受け止めている点が軸になっている。

サウンドの勢いに合わせて、街は常に動き続け、飽きる暇がない場所として語られる。人も音もネオンも、すべてが若さを後押しする装置として働き、息苦しかった「ブートキャンプ」のような家とは真逆の自由が広がる。主人公は、刺激の洪水に圧倒されながらも、それを自分の居場所だと確信していく。

繰り返されるフレーズは、ニューヨークという都市そのものが若者に報酬を与える存在だと示し、街と個人が呼応し合う構図を作っている。迷っても沈んでも、街に戻ればすべてが動き出すという信頼があり、都市への賛歌と自己肯定が重なる。全体として、巨大都市が象徴するスピード、刺激、自由への憧れを、そのまま若さの物語として凝縮した曲になっている。

ticker-tapeとは?

ticker-tapeとは株価を印字する細長い紙テープのこと。このティッカーテープを大量に建物の窓から投げて祝うイベントが「ticker-tape parade(ティッカーテープ・パレード)」で、1886年、自由の女神の除幕式を祝ってニューヨーク市民が即興で紙をまいたのが最初とされ、以降ニューヨークの名物的イベントとして、主に偉業を成し遂げた人物やチーム、軍人、宇宙飛行士の帰還などを祝して開催されてきた。現在では、本物のティッカーテープではなくシュレッダーで作った紙片や市が配布する紙吹雪に置き換わっている。

セブンス・アベニューとブロードウェイが交わる場所とは?

セブンス・アベニューとブロードウェイが交わる場所は、ニューヨーク・マンハッタンの中心部、タイムズスクエア周辺を指す。劇場や巨大広告が立ち並ぶこのエリアは、夢やエンタメ、華やかさの象徴として多くの楽曲や映画で描かれている。

「If you don’t get the mix / It’s gone eighty-six」とは?

get the mix” は「ノリをつかむ」「うまく流れに乗る」という意味。”eighty-six” はアメリカのスラングで「廃棄された」「終わった」「締め出された」という意味。
 このフレーズ全体で、「タイミングを逃したらアウト、チャンスは消える」という、都会のスピード感を表現している。

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