【曲解説】Pitbull – Give Me Everything (feat. Ne-Yo, Afrojack & Nayer)

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曲情報

Give Me Everything」(ギヴ・ミー・エヴリシング)は、アメリカのラッパー、Pitbull(ピットブル)がオランダのDJ、Afrojack(アフロジャック)、アメリカのシンガーソングライターNe-Yo(ニーヨ)、Nayer(ナイヤー)をフィーチャーした楽曲である。この曲はピットブル、Ne-Yo、アフロジャックによって作詞作曲され、アフロジャックがプロデュースを担当した。2011年3月18日にPolo Grounds Music、Mr. 305 Entertainment、J Recordsを通じてリリースされ、ピットブルの6枚目のスタジオアルバム『Planet Pit』(2011年)のセカンドシングルとして発表された。ローリング・ストーン誌はこの曲を「クラブ・ポップであり、Ne-Yoの切ないコーラスが特徴的」と評している。

アメリカでは、「Give Me Everything」はビルボード・ホット100で1位を獲得し、Ne-Yoを除くすべてのアーティストにとって初の全米1位シングルとなった(Ne-Yoは2006年に「So Sick」で既に1位を獲得していた)。また、ピットブルにとってはイギリスでも自身初の1位獲得曲となった。さらに、ベルギー、カナダ、アイルランド、オランダ、ルーマニアなど21か国で1位を記録し、12の国と地域でトップ5入りを果たした。この曲は2011年のデジタル販売数で世界7位となり、総販売数820万枚を達成し、史上最も売れたシングルの一つとなった。

背景と作曲

「Hey Baby(Drop It to the Floor)」に続き、「Give Me Everything」はピットブルのアルバム『Planet Pit』からの2枚目のシングルとして2011年6月21日にリリースされた。曲は2011年3月18日にJ Recordsよりリリースされ、ピットブル、Ne-Yo、アフロジャックが作詞・作曲し、ナイヤーもフィーチャリングとして参加している。

ピットブル、Ne-Yo、ナイヤーは、MTVの「Spring Break 2011 in Las Vegas」でこの曲を披露した。Yahoo! Musicのポール・グラインは、この曲がヒップホップ、ポップ、「ブロードウェイ的な演出」を組み合わせたものであると述べ、「Tonight」の繰り返しが、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』(1957年)の「Tonight」を思い起こさせると評した。ピットブルはこの曲の歌詞にコダック、メイシーズ、ライアン・シークレスト、リンジー・ローハンといったブランドや著名人を言及している。

Musicnotes.comに掲載された楽譜によると、「Give Me Everything」は変ホ長調(E♭メジャー)で作曲され、4/4拍子のリズムを持ち、テンポは129BPMである。ボーカルの音域はC3からB♭4まで。

デイモンド・ジョンの著書『Powershift』によると、ピットブルはこの曲をドバイのプリンセスとのクラブでの出会いから着想を得たという。クラブの警備員がプリンセスをピットブルから遠ざけようとした際の出来事が、この曲のインスピレーションとなったと述べている。ジョンはこのエピソードを裏付ける証拠として、「Take advantage of tonight, ‘cause I’m off to Dubai to perform for a princess(今夜を楽しめ、なぜなら俺はドバイでプリンセスの前でパフォーマンスするから)」という歌詞と、ピットブルのファンへの寛大な姿勢が、この曲を生み出した理由だと語っている。

歌詞の意味

この曲は刹那的な高揚感を軸に、今という瞬間に全てを賭けようとする姿勢を描く内容とされる。語り手たちは明日が保証されないという前提のもと、ためらいや周囲の視線を振り払って、その場の情熱や快楽を最大限に享受しようとする。成功や名声にまつわる自己語りも挟まれるが、それらは結局のところ今夜の一度きりの出会いと体験を引き立てる要素として扱われる。

反復される呼びかけは、相手に対して感情や身体的な距離を縮めようとする直接的な誘いとなり、夜の解放感や衝動性を強調する。未来を約束できないという宣言は無責任さではなく、むしろ瞬間の真実性に重きを置く姿勢として提示され、時間的制約が情熱を加速させる構図を形成している。全体として、享楽的なエネルギーと一夜限りのドラマ性を前面に押し出した内容になっている。

Kodak(コダック)とは?

アメリカの老舗カメラ・フィルムメーカー。写真撮影を象徴する存在で、ここでは「あり得ない話を写真に撮れ」という皮肉で使われている。

Times Square(タイムズスクエア)とは?

ニューヨークにある有名な繁華街・ランドマーク。巨大な電子広告が並び、世界中から観光客が集まる場所。ここでは「注目される場所」として使われている。

Dale とは?

スペイン語で「行け!」や「さあやろう!」の意味。ピットブルがよく使う決め台詞のひとつ。

Lindsay Lohan(リンジー・ローハン)とは?

アメリカの女優・歌手。若い頃に成功したが、後にトラブルや逮捕歴でも有名になった。ここでは「トラブルに巻き込まれる」ニュアンスで使われている。

Seacrest(シークレスト)とは?

ライアン・シークレストのこと。アメリカのテレビ司会者・プロデューサーで、大成功して莫大な収入を得たことで知られている。

ラップ、ヒップホップにおける「hustler」の意味

ラップやヒップホップ文化における「ハスラー」は、どんな手段を使ってでも成功を掴もうとする人を指す。

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