【歌詞和訳】The Beatles – I Me Mine

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歌詞&翻訳

All through the day
一日中ずっと
I me mine, I me mine, I me mine
「自分が」「自分が」って考えてる
All through the night
夜が明けるまでずっと
I me mine, I me mine, I me mine
「自分が」「自分が」って考えてる
Now they’re frightened of leaving it
今や彼らはそれを手放すのを恐れてる
Everyone’s weaving it
みんなしてエゴをぶつけ合って
Coming on strong all the time
ますます強まっていってる

All through the day
一日中ずっと
I me mine
「自分が」「自分が」って考えてる

I-I-me-me-mine
自分のことばっかり
I-I-me-me-mine
自分のことばっかり
I-I-me-me-mine
自分のことばっかり
I-I-me-me-mine
自分のことばっかり

All I can hear
聞こえてくるのは
I me mine, I me mine, I me mine
「自分が」「自分が」っていう声ばかり
Even those tears
あの涙さえも
I me mine, I me mine, I me mine
「自分のもの」として考えてる
No one’s frightened of playing it
誰もそんなふうに振る舞うことを恐れずに
Everyone’s saying it
誰もがそれを口にして
Flowing more freely than wine
ワインよりも際限なく流れ続けてる

All through the day
一日中ずっと
I me mine
「自分が」「自分が」って考えてる

I-I-me-me-mine
自分のことばっかり
I-I-me-me-mine
自分のことばっかり
I-I-me-me-mine
自分のことばっかり
I-I-me-me-mine
自分のことばっかり

All I can hear
聞こえてくるのは
I me mine, I me mine, I me mine
「自分が」「自分が」っていう声ばかり
Even those tears
あの涙さえも
I me mine, I me mine, I me mine
「自分のもの」として考えてる
No one’s frightened of playing it
誰もそんなふうに振る舞うことを恐れずに
Everyone’s saying it
誰もがそれを口にして
Flowing more freely than wine
ワインよりも際限なく流れ続けてる

All through your life
君の人生ずっと
I me mine
自分のことしか考えてないんだ

曲情報

 「I Me Mine」(アイ・ミー・マイン)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲で、1970年のアルバム『Let It Be』に収録された。ジョージ・ハリスンによって作詞・作曲され、バンドが1970年4月に解散する直前に録音された最後の新曲である。

 この曲は、1969年1月にトゥイッケナム映画撮影所で行われたリハーサル中に生まれた。ビートルズは当時、数年ぶりのライブ復帰を検討していたが、メンバー間の不和が深刻化していた。歌詞は人間の自己中心性を嘆くものであり、ハリスン自身がバンドを一時脱退する原因となった内部の対立に対するコメントとも解釈されている。楽曲はワルツ調のヴァースとハードロック調のコーラスが交互に展開される。

背景とインスピレーション

 ハリスンは1969年1月7日、トゥイッケナムでのリハーサルの際にこの曲を書いた。当時、彼は『バガヴァッド・ギーター』などのヒンドゥー教の経典に深く傾倒しており、その影響が歌詞に表れている。「I Me Mine」というタイトルは、エゴを放棄し普遍的な意識に至ることを説くヒンドゥー教の思想に由来している。ハリスンは、自己中心的な態度がバンド内の不和の原因であると感じており、歌詞の中でそれを皮肉っている。

 ハリスンがこの曲をバンドに披露した際、ジョン・レノンはほとんど関心を示さず、ヨーコ・オノと共にワルツを踊る姿が記録された。その映像は映画『Let It Be』にも収められている。この態度により、ハリスンの不満はさらに募り、最終的に1月10日にバンドを一時脱退するに至った。

作曲と構成

 「I Me Mine」のヴァース部分はAマイナー、コーラス部分はAメジャーで書かれており、並行調のコントラストが特徴的である。ワルツ(3/4拍子)のヴァースから4/4拍子のコーラスへと移行する構成になっている。この楽曲のメロディーは、ハリスンがあるテレビ番組で聴いたオーストリアのブラスバンドの演奏から影響を受けたとされている。

録音

 1970年1月3日、ジョン・レノンがすでにバンドを離脱した後、ハリスン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターの3人はロンドンのEMIスタジオで正式な録音を行った。セッションでは16テイクが録音され、そのうちテイク16が最終的に採用された。ハリスンはアコースティックギターとリードボーカルを担当し、マッカートニーはベースとキーボード、スターはドラムを演奏した。

 その後、アルバム『Let It Be』のプロデューサーであるフィル・スペクターが楽曲を拡張し、コーラスとヴァースを繰り返す編集を施した。さらに、オーケストラと女性コーラスを加え、より壮大なアレンジを施した。このプロデュース手法には賛否が分かれたが、最終的にアルバムに収録された。

批評と影響

 「I Me Mine」は、ビートルズ最後の力強い演奏の一つとして評価されている。特に、ハリスンのギタープレイと楽曲のメッセージ性が称賛されている。一方で、スペクターによるオーケストレーションの追加については、賛否が分かれた。

 この楽曲は、宗教学者によってエゴイズムに関する考察の一例として引用されることがあり、ヒンドゥー教や仏教における自己放棄の概念と関連づけられることが多い。1980年、ハリスンは自身の自伝に『I, Me, Mine』と名付けた。このタイトルは、エゴを超越するという彼の信念を象徴している。

収録と後世への影響

 1996年、オリジナルの1分34秒の録音が『Anthology 3』に収録され、レノンの脱退を揶揄するハリスンの冗談交じりのアナウンスと共に公開された。また、2003年には『Let It Be… Naked』にスペクターのオーバーダブを取り除いたバージョンが収録された。

 「I Me Mine」は、ハリスンの作曲家としての成長を示す楽曲の一つであり、ビートルズ解散後の彼のソロ活動にも影響を与えた。この曲のメッセージは、後にハリスンが制作した『All Things Must Pass』や『Living in the Material World』などのアルバムにも引き継がれている。

参加ミュージシャン

ビートルズ

  • ジョージ・ハリスン – リードボーカル、アコースティックギター、エレクトリックギター
  • ポール・マッカートニー – ハーモニーボーカル、ベースギター、ハモンドオルガン、エレクトリックピアノ
  • リンゴ・スター – ドラム

追加ミュージシャン

  • 未記名 – 18のバイオリン、4のビオラ、4のチェロ、ハープ、3のトランペット、3のトロンボーン
  • 未記名 – 女性コーラス
  • リチャード・ヒューソン – ブラス&ストリングスアレンジ

 「I Me Mine」は、ビートルズの歴史の中でも象徴的な楽曲の一つであり、ハリスンの宗教的・哲学的な思想が色濃く反映された作品である。そのメッセージとメロディーは、今なお多くのリスナーに響き続けている。

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