【歌詞和訳】The Beatles – Norwegian Wood (This Bird Has Flown)

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歌詞&翻訳

I once had a girl
かつて、ある女の子と付き合っていた
Or should I say, she once had me?
いや、むしろ彼女に付き合わされてたと言うべきかな
She showed me her room
彼女は自分の部屋を見せてくれた
“Isn’t it good, Norwegian wood?”
「素敵でしょ、ノルウェー産の木材よ」

She asked me to stay
彼女は僕に泊まっていくよう言って
And she told me to sit anywhere
どこにでも座ってって言った
So I looked around
だから辺りを見回したけれど
And I noticed there wasn’t a chair
椅子はひとつもなかった

I sat on the rug
僕はラグの上に座って
Biding my time, drinking her wine
時間をつぶしながら彼女のワインを飲み
We talked until two
夜中の二時までふたりで話した
And then she said, “It’s time for bed”
それから彼女が言った「もう寝る時間よ」って

She told me she worked in the morning
「朝仕事があるの」
And started to laugh
そう言って彼女は笑った
I told her I didn’t
だから「僕は朝仕事してない」って言って
And crawled off to sleep in the bath
バスルームにのそのそ歩いていって、そこで眠った

And when I awoke
そして目が覚めたとき
I was alone, this bird had flown
僕はひとりだった あの子はもう飛び去ってた
So I lit a fire
だから僕は火をつけた
Isn’t it good, Norwegian wood?
いいよね、ノルウェー産の木材は

曲情報

 「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」(邦題:ノルウェイの森)、または単に「Norwegian Wood」は、イギリスのロックバンド、ビートルズが1965年のアルバム『Rubber Soul』で発表した楽曲である。主にジョン・レノンが作詞作曲を手がけ、ポール・マッカートニーが詞の一部に貢献した。クレジットはレノン=マッカートニー名義となっている。ボブ・ディランの内省的な歌詞に影響を受けたこの曲は、ビートルズのソングライティングにおける重要な転機と見なされている。ギタリストのジョージ・ハリスンが演奏するシタールがフィーチャーされており、西洋のロック音楽でインドの弦楽器が使用された最初の例とされる。この曲は1966年にシングルとしてオーストラリアで発売され、「Nowhere Man」とのカップリングで1位を記録した。

 レノンはこの曲を、ロンドンでの不倫関係をほのめかして書いたとされる。レコーディング時、ハリスンはレノンの依頼でシタールのパートを加えた。ハリスンは1965年初頭、映画『Help!』の撮影中にその異国的な響きに惹かれたという。「Norwegian Wood」は1960年代中期におけるラーガ・ロックやサイケデリック・ロックの発展に影響を与えた。さらに、ラヴィ・シャンカルやインド古典音楽が西洋のメインストリームで注目されるきっかけにもなり、バーズ、ローリング・ストーンズ、ドノヴァンなど多くのアーティストがインド音楽の要素を取り入れるようになった。「Norwegian Wood」は、ワールド・ミュージック初期の重要作としても評価されている。

 『Rolling Stone』誌は2004年の「史上最も偉大な500曲」で本曲を83位にランク付けしている。

背景と作曲

 歌詞はレノンが関係を持った不倫相手との出来事を描いているとされており、冒頭の一節「I once had a girl, or should I say, she once had me.(かつてある女の子と付き合っていた…いや、付き合われていたのかも)」がそれを示唆している。レノンは相手を明かさなかったが、作家フィリップ・ノーマンは、友人のジャーナリスト、モーリーン・クレイヴまたはソニー・フリーマンであった可能性を示唆している。

 マッカートニーは、「Norwegian Wood」という言葉が、当時ロンドンで流行していた安価なパイン材の壁材に対する皮肉的な呼称であると説明している。また、曲の最後のヴァースについて「僕らの世界では、男は何かしら仕返しをしなくちゃいけない。それが“暖を取るために火をつけた”という意味にもなり得たし、彼女の家の内装が素晴らしかったっていう皮肉にもとれた。でも実際は、仕返しで家に火をつけたってことなんだ。そしてそのまま演奏パートに入ったんだ」と語っている。

 1970年時点でレノンは「この曲は自分が書いたもので、マッカートニーは中間部を手伝った」と述べていたが、1980年には「完全に自分の曲だ」と主張を変えている。一方、レノンの死後、マッカートニーは「最初の2行をジョンが持ってきて、そこから一緒に書き進めた」「中間部やタイトル、“fire(火)”といった要素は自分のアイディアだった」と反論している。この発言は、マッカートニーが1997年の公式伝記『Many Years from Now』で行った主張の中でも論争を呼んだ内容の一つである。

 レノンはこの曲を1965年1月、スイス・アルプスのサン・モリッツにあるバドルッツ・パレス・ホテルで、妻シンシアとプロデューサーのジョージ・マーティンとともに休暇を過ごしていた際に書き始めた。当時は「This Bird Has Flown」という仮タイトルだった。数日かけてアコースティックなアレンジを発展させ、スキー中のケガから回復中だったマーティンに聴かせたという。著書『The Songs of Lennon: The Beatle Years』でジョン・スティーヴンスはこの曲を「フォーク調バラードの転換点」と評し、「レノンはリリカルなイメージを次々と繰り出し、聴き手の想像力に委ねる」と記している。また、「Ask Me Why」「There’s a Place」といった楽曲に続く、レノンのシュールな歌詞の重要な進化点ともされている。

シタールとインド音楽の影響

 1965年4月5日から6日にかけて、ビートルズの2作目の映画『Help!』の撮影でトゥイッケナム・フィルム・スタジオに滞在していた際、ハリスンは初めてシタールに出会った。インド料理店のセットで、インドの演奏家たちがいくつかの楽器を演奏していたシーンだった。

 「Norwegian Wood」は、西洋ポップスにおいてインド音楽の影響が表れた初の例ではない。ラーガ風のドローンは、ビートルズの「Ticket to Ride」や、キンクスの「See My Friends」にも見られる。また、ヤードバーズは「Heart Full of Soul」で歪んだエレキギターを用いて似たようなサウンドを生み出していた。キンクスのレイ・デイヴィスの友人であるバリー・ファントーニによれば、ビートルズがインド風の音楽に興味を持ったのは、彼が「See My Friends」を彼らに聴かせたことがきっかけだったという。

 しかし、著者イアン・マクドナルドは、キンクスのシングルがビートルズに影響を与えた可能性を認めつつも、デイヴィス自身が「Ticket to Ride」の影響を受けて「See My Friends」を作った可能性にも言及している。

 ハリスンは、キンクスやヤードバーズよりも、インド音楽への関心が高まったきっかけとして、ラヴィ・シャンカルの名前を何度も耳にしたことや、1965年8月25日にアメリカ・ツアー中のロサンゼルスで、バーズのデヴィッド・クロスビーと交わした会話を挙げている。ロンドンに戻った後、ハリスンはクロスビーの勧めでシャンカルのレコードを探し、またオックスフォード・ストリートのインディアクラフト店で安価なシタールを購入した。

 リンゴ・スターは「Norwegian Wood」でのハリスンのシタール演奏について「当時の僕らは新しい音に貪欲だった。象を連れてきても、ちゃんと音を出すならOKだったよ」と述べている。

歌詞の意味

Norwegian wood は「ノルウェイの森」じゃない

 マッカートニーは、「Norwegian Wood」という言葉が、当時ロンドンで流行していた安価なパイン材の壁材に対する皮肉的な呼称であると説明している。

ジョンは『プレイボーイ』誌で、このタイトルがどこから来たのか全然覚えてないって言ってたけど、僕は知ってるよ。
ピーター・アッシャー(※ジェーン・アッシャーの兄)の部屋が木で内装されててね。
当時は多くの人が部屋を木で飾ってたんだ。「ノルウェー材」ってやつさ。
でも実際はパイン材でね、安物のパインだったんだ。

でもさ、「Cheap Pine(安いパイン材)」ってタイトルじゃイマイチだろ?ベイビー…

それで、彼女は彼をバスルームで寝かせるから、最後のヴァースでは、僕が「そのノルウェー材に火をつける」っていう復讐のアイデアを思いついたんだ。
だから、あれはすごく皮肉っぽくやったんだよ。

彼女は彼をその気にさせておいて、最後には「バスルームで寝てね」だろ?
僕らの感覚ではさ、男の側にも何かしらの復讐が必要だったんだ。

もちろんこうも解釈できるよ。「暖を取るために火をつけた」とか、
「彼女の部屋の内装って素敵だったよね」とかってさ。

でも違うんだよ、意味してたのは「クソッたれなその部屋に火をつけて燃やしてやった」ってことなんだ。
で、そこで話は終わって、インストゥルメンタルパートに入っていったわけ。

— ポール・マッカートニー

(『Many Years From Now』バリー・マイルズ著)

bird の意味

I was alone, this bird had flown
僕はひとりだった あの子はもう飛び去ってた

 ”bird” は当時の俗語で「女の子」のこと。ここでは登場人物の「あの子」のこと。

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