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曲情報
「Careless Whisper」(ケアレス・ウィスパー)はイギリスのシンガーソングライター、ジョージ・マイケルが作曲し、1984年にWham!のアルバム『Make It Big』からシングルとして発表された。作詞はマイケルとバンド仲間のアンドリュー・リッジリーによるもので、印象的なサックスのリフはスティーヴ・グレゴリーが演奏している。マイケルが10代の頃に構想した曲で、複数のサックス奏者を試し、最終的に満足のいくテイクを得た。
この楽曲はR&Bやソウルの要素を取り入れたポップソングで、イギリスとアメリカを含む25か国以上でチャート1位を獲得し、1985年のBillboard年間1位にも選ばれた。推定で全世界1,100万枚以上を売り上げ、そのうち約200万枚はアメリカでの販売による。後年、サックスのリフは映画やネットミームを通じて再び広く親しまれ、SNSでの人気も高まった。
歌詞の意味
この曲は裏切りによって大切な相手とのつながりを失い、その罪悪感が身体の感覚までも奪っていく様子を、ダンスという象徴に重ねて描いてる。主人公は相手の手を取る瞬間からすでに後ろめたさを抱え、音楽が止まると同時に誤魔化してきた思いが一気にあらわになる。相手のまなざしには別れの気配が漂い、かつて共有していた時間が銀幕の悲しい名場面のように蘇る。
踊れないという言葉は、ただステップを踏めないという意味ではなく、信頼を壊した自分にはもう相手と同じ世界でリズムを分かち合う資格がないという自覚の表れでもある。友人であるはずの相手を裏切ったことで与えられていたはずのチャンスを完全に失い、その喪失が取り返しのつかない痛みとして胸に残っている。
真実を知ることは慰めにはならず、むしろ心をえぐるだけだと主人公は悟る。騒がしい音や群衆の中にいても孤独だけが際立ち、ふたりがもし言いたいことをぶつけ合えばさらに傷つけ合うだけだと気づく。だからこそ、失われた未来を思いながらも何もできず、ただ相手にそばにいてほしいと願う気持ちだけが残る。
結局、裏切りによって壊れた関係はもう戻らず、主人公は自分の罪を抱えたまま、かつての幸福なダンスを永遠に再現できないことを受け入れざるを得ない。離れた相手を呼び止める声もむなしく、最後には悔恨だけが響き続ける曲になっている。
関連動画
2008年、ロンドンでのライブパフォーマンス


