【曲解説】Whitney Houston – I Will Always Love You

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曲情報

「I Will Always Love You」(アイ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー)は、アメリカのシンガーソングライター、ドリー・パートンが1973年に作詞・作曲し、1974年にリリースした楽曲である。ビジネスパートナーであり、メンターでもあったポーター・ワゴナーへの別れを綴った楽曲で、パートンのソロ活動への決意を表している。このカントリーソングはアメリカのBillboard Hot Country Songsチャートで2度首位を獲得し、最初は1974年6月、次に1982年10月に映画『The Best Little Whorehouse in Texas』のサウンドトラック用の再録音版としてランクインした。

一方、ホイットニー・ヒューストンは1992年の映画『ボディガード』のサウンドトラックとして、本楽曲のポップバラードアレンジを録音。ヒューストンのバージョンはBillboard Hot 100で14週間連続1位という当時の最長記録を樹立し、RIAAによってダイヤモンド認定された。これはヒューストンにとって初のダイヤモンドシングルであり、ダイヤモンドシングルとダイヤモンドアルバムの両方を持つ3人目の女性アーティストとなった。また、この曲はアメリカで女性アーティストによる最も売れたシングルとなり、全世界で2400万枚以上を売り上げ、女性ソロアーティストによる歴代最高の売上を記録した。さらに、34か国の公式シングルチャートで1位を獲得し、1992年の世界で最も売れたシングルとなった。ヒューストンは1994年のグラミー賞で「最優秀レコード賞」と「最優秀女性ポップボーカルパフォーマンス賞」を受賞し、『The Bodyguard』サウンドトラックは「最優秀アルバム賞」を受賞した。

この楽曲はリンダ・ロンシュタット、ジョン・ドウ、アンバー・ライリー、ケニー・ロジャース、リアン・ライムス、サラ・ワシントンなど、多くのアーティストによってカバーされている。特にワシントンのダンスバージョンは、UKシングルチャートで12位にランクインした。「I Will Always Love You」はBMIによって1000万回以上のラジオ放送を記録した楽曲として認定されている。

背景と作曲

ドリー・パートンは1973年、当時のビジネスパートナーであったポーター・ワゴナーとのプロフェッショナルな別れを決意し、その心情をこの楽曲に込めた。彼女は1973年6月12日にナッシュビルのRCA Studio Bでレコーディングを行った。

音楽評論家カーティス・W・エリソンは「この曲は男女間の関係の終焉を描いているが、それは家庭内の混乱に陥るのではなく、女性の主体的な決断による尊重を伴った別れを表している」と述べた。本楽曲は4/4拍子で、テンポは66BPM(ラルゲット/アダージョ)である。

多くのリスナーはこの楽曲の起源を知らず、パートンのマネージャーであるダニー・ノゼルは「『アメリカン・アイドル』の影響で、多くの人がこの曲をパートンが作ったことを知らなかった」と語っている。パートンは『ボビー・ボーンズ・ショー』で、「Jolene」と「I Will Always Love You」を同じ日に書いたと語ったが、その後、「同じ夜に書いたかどうかは分からない」と訂正している。

パートンはこの楽曲をパティ・ラベルに提供したことがあり、ラベルは「この曲を録音するべきだった」と後に後悔を語った。

ホイットニー・ヒューストンのバージョン

1992年、ホイットニー・ヒューストンは映画『ボディガード』のサウンドトラックとして「I Will Always Love You」をカバーした。このバージョンは高い評価を受け、ヒューストンの代表曲の一つとなった。

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シングルはアメリカのBillboard Hot 100で14週間連続1位を記録し、当時の最長記録を樹立。世界各国でも大ヒットを記録し、Eurochart Hot 100 Singlesでは13週間1位を獲得。オーストラリア(10週間)、オーストリア(5週間)、ベルギー(7週間)、フランス(8週間)、ドイツ(6週間)、アイルランド(8週間)、オランダ(6週間)、ニュージーランド(14週間)、ノルウェー(9週間)、スペイン(1週間)、ウルグアイ(1週間)、スウェーデン(6週間)、スイス(8週間)、イギリス(10週間)など、多くの国で1位に輝いた。

この楽曲は1994年のグラミー賞で「最優秀レコード賞」と「最優秀女性ポップボーカルパフォーマンス賞」を受賞。また、アメリカン・ミュージック・アワードでは「ポップ/ロック部門最優秀シングル賞」と「ソウル/R&B部門最優秀シングル賞」を受賞し、女性ソロアーティストとして初めて両部門での受賞を達成した。日本では1993年と1994年の日本ゴールドディスク大賞で「年間最優秀海外楽曲賞」を受賞し、国内売上は100万枚を超えた。

2020年、「I Will Always Love You」はアメリカ議会図書館の「国家録音登録簿」に登録され、「文化的、歴史的、または美的に重要な作品」として認定された。2021年には『Rolling Stone』誌の「史上最高の500曲」において94位にランクインし、2023年にはBillboardの「史上最高のポップソング500」において60位に選ばれた。

歌詞の意味

この曲は、深い愛情を抱いたまま関係から身を引く決断を語り手が静かに受け入れていく内容になっている。自分がそばに残れば相手の未来を妨げてしまうという認識が出発点にあり、別れは避けられないものとして提示される。そのうえで、相手を思う気持ちだけは時間を越えて持ち続けると明言し、愛が関係の形を変えても消えないという確信が中心にある。

別れに際して持ち帰るものは甘さと苦さの入り混じった記憶だけであり、涙を求めない姿勢は、相手の幸せを第一に願う態度と結びついている。語り手は自分が相手にとって必要な存在ではないと理解しながら、それでも相手の今後の人生に優しさと愛が訪れるよう祈りを送る。

全体として、愛の断念ではなく昇華を描く内容であり、喪失と祝福が共存する静かな情感の中で、持続する愛情が丁寧に語られている。

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