【歌詞和訳】David Bowie – Rock ‘n’ Roll Suicide

動画

▼オーディオ(2012リマスター)

▼1973年、ロンドンでのライブパフォーマンス

▼1990年、東京でのライブパフォーマンス

歌詞&翻訳

Time takes a cigarette, puts it in your mouth
時間がタバコを手に取り、君の口にくわえさせる
You pull on your finger
君は指を引っ張り
Then another finger, then cigarette
また別の指も引っ張り──そしてまたタバコに手を伸ばす
The wall-to-wall is calling
壁一面から声が聞こえる
It lingers, then you forget
その気配はしばらく残るけれど、やがて君は忘れてしまう

Oh, oh, oh, oh, you’re a rock ‘n’ roll suicide
ああ、なんてこった、君はロックンロールを体現する自殺者そのものだ

You’re too old to lose it, too young to choose it
失うには歳をとりすぎていて、選ぶにはまだ若すぎる
And the clock waits so patiently on your song
そして時計は辛抱強く君の歌を待ち続けてる
You walk past the café, but you don’t eat
君はカフェの前を通り過ぎても、もう食べはしない
When you’ve lived too long
長く生きすぎてしまったから

Oh, no, no, no, you’re a rock ‘n’ roll suicide
ああ、なんてこった、君はロックンロールを体現する自殺者そのものだ

Chev’s brakes are snarling
シボレーのブレーキがうなる
As you stumble across the road
君がよろめきながら道を横切ると
But the day breaks instead, so you hurry home
でも死ねずに夜が明けてしまって、君は急いで家に帰る
Don’t let the sun blast your shadow
太陽に君の影を暴かせるな
Don’t let the milk float ride your mind
牛乳配達のトラックなんかに囚われるな
They’re so natural, religiously unkind
あいつらはごく自然に、狂信的なほど冷たく振る舞ってくるんだ

Oh no, love, you’re not alone
ああ、違うよ、愛しい人、君はひとりじゃない
You’re watching yourself, but you’re too unfair
君は自分を厳しい目で見すぎてる
You got your head all tangled up
君は頭が混乱してしまってるけど
But if I could only make you care
もし僕が、君にほんの少しでも気づかせてあげられたら
Oh no, love, you’re not alone
ああ、違うよ、愛しい人、君はひとりじゃない
No matter what or who you’ve been
君がどんな人間だったとしても
No matter when or where you’ve seen
どんなときに、どこで何を見てきたとしても
All the knives seem to lacerate your brain
あらゆるナイフが君の脳を切り裂いてくるように思えても
I’ve had my share, I’ll help you with the pain
僕にもそんな夜があった、だからその痛みを一緒に背負うよ
You’re not alone
君はもうひとりじゃない

Just turn on with me, and you’re not alone
ただ僕と一緒に感じてみて、それだけで君はひとりじゃないんだ
Let’s turn on and be not alone (wonderful)
さあ一緒に感じて、孤独じゃないんだ(素晴らしい)
Give me your hands, ‘cause you’re wonderful (wonderful)
手を差し出してくれ、だって君は素晴らしい人だから(素晴らしい)
Just give your hands, ‘cause you’re wonderful (wonderful)
手を差し出してくれ、だって君は素晴らしい人だから(素晴らしい)
Oh, give me your hands, ‘cause you’re wonderful (wonderful)
ああ、手を差し出してくれ、だって君は素晴らしい人だから(素晴らしい)
Oh, give me your hands
ああ、手を差し出してくれ

曲情報

 「Rock ‘n’ Roll Suicide」(ロックンロール・スーサイド)は、イギリスのシンガーソングライター、デヴィッド・ボウイによる楽曲で、1972年6月16日にリリースされたアルバム『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(ジギー・スターダスト)』の最終トラックとして収録された。ケン・スコットとの共同プロデュースで録音され、バックバンドのスパイダーズ・フロム・マーズ(ミック・ロンソン、トレヴァー・ボルダー、ミック・ウッドマンジー)とともに演奏された。この曲は、ジギーが落ちぶれた年老いたロックスターとして最終的に崩壊する様子を描いており、ジギー・スターダストのライブショーの最後を飾るナンバーでもあった。1974年4月にはシングルとしてもリリースされた。

音楽と歌詞

 ボウイはこの曲をフランスのシャンソンの伝統になぞらえて考えていた。一方、伝記作家デヴィッド・バックリーは「Rock ‘n’ Roll Suicide」とアルバム冒頭曲「Five Years」を「実際のロックソングというよりも前衛的なショーソング」と評している。批評家スティーヴン・トーマス・アールワインも、「これまでロックンロールでは聞かれなかった壮大で演劇的なドラマ性がある」と述べている。

 ボウイは歌詞のインスピレーションとしてボードレールを挙げているが、「Time takes a cigarette…(時間がタバコを奪っていく)」という表現は、マヌエル・マチャドの詩「Chants Andalous(アンダルシアの歌)」にある「人生はタバコ/灰、火、そして煙/急いで吸う者もいれば/味わう者もいる」と似ている。また、「Oh no, love, you’re not alone(違うよ、君は独りじゃない)」というフレーズは、ジャック・ブレルの楽曲「Jef」(ミュージカル『Jacques Brel is Alive and Well and Living in Paris』収録)の影響を受けている。ボウイはライブでブレルの「My Death」や「Amsterdam」も演奏していた。

 2003年、ボウイはジェームス・ブラウンの楽曲「Try Me」と「Lost Someone」を、この曲の「ゆるやかなインスピレーション」として挙げている。

 ボウイの直筆歌詞は、2013年から2018年にかけて巡回した展覧会『David Bowie Is』で展示され、2023年末にはボウイ本人から贈られた所有者によってオークションに出品された。

リリースとその後

 「Rock ‘n’ Roll Suicide」は1972年2月4日に録音され、『Ziggy Stardust』の最後に録音された数曲の一つであり、「Suffragette City」や後にシングル化された「Starman」と並んで制作された。アルバムの最終トラックとして、また1972〜73年のジギー・スターダストのライブショーのクライマックスとして披露され、ファンのジャケットなどにスローガンとして登場するようになった。

 1974年4月、RCAは新作が待たれる中で、すでに『Diamond Dogs』から「Rebel Rebel」を急ぎリリースしていたが、それに続いてこの楽曲をシングルとして選んだ。しかし、2年前の楽曲であり、既に多くのファンがアルバムで所有していたことから、「金儲け目的の再利用」とも評された。イギリスでは最高22位にとどまり、ボウイのRCAシングルとしては1972年1月の「Changes」以来、初めてトップ20を逃した。

 2007年には、ボブ・ディランがラジオ番組『Theme Time Radio Hour』のシーズン1第1話「Death and Taxes」でこの曲をかけた後、「ボウイはジギー・スターダスト・ツアーの後に引退するとみんなに言ったんだよな。あの時止めたんだ、やめるなって」と語った。

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