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歌詞&和訳
I looked out across the river today
僕は今日、川の向こうに目をやった
Saw a city in the fog and an old church town where the seagulls play
カモメが遊ぶ霧に覆われた古い教会街を見た
Saw the sad shire horses walking home in the sodium light
ナトリウム灯の中、悲しげに歩いて家に帰るシャイヤー種の馬を見た
Two priests on the ferry
フェリーに乗った二人の神父
October geese on a cold winter’s night
寒い冬の夜の十月の雁
All this time the river flowed
その間、川はずっと流れていた
Endlessly to the sea
果てしなく海へと
Two priests came ‘round our house tonight
今夜、二人の神父が僕の家にやって来た
One young, one old, to offer prayers for the dying to serve the final rite
一人は若く、一人は年を取った神父が、死にゆく人々のために祈りをささげるという最後の儀式を執り行うために
One to learn, one to teach which way the cold wind blows
一人は学び、一人は冷たい風が吹く方向を教え
And fussing and flapping in priestly black like a murder of crows
カラスの群れのように、司祭の黒い服をはためかせて仰々しく儀式を執り行っていた
All this time the river flowed
その間、川はずっと流れていた
Endlessly to the sea
果てしなく海へと
If I had my way
もし僕が儀式を執り行えるなら
I’d take a boat from the river
川に小舟を浮かべて
And I’d bury the old man
父を水葬したのに
I’d bury him at sea
海へと送り出したのに
Blessed are the poor, for they shall inherit the earth
「貧しい者たちは幸いだ、彼らは大地を受け継ぐことになるから」
Better to be poor than be a fat man in the eye of the needle
「針の穴に嵌まる太った人間よりも貧しい人間になる方が良い」
As these words were spoken I swear I hear the old man laughing
これらの言葉が口にされている間、間違いなく父の笑い声を聞いたよ
What good is a used up world and how could it be worth having?
「貧しいだけの暮らしに一体何の価値があるんだ?」
All this time the river flowed
その間、川はずっと流れていた
Endlessly like a silent tear
静かな涙のように果てしなく
All this time the river flowed
その間、川はずっと流れていた
Father, if Jesus exists then how come he never lives here?
神父さま、神様が存在するのなら、どうしてここに住んでいないの?
Teachers told us the Romans built this place
ローマ人がこの場所を作ったと先生たちは言った
They built a wall and a temple and an edge of the empire garrison town
城壁を築き、神殿を建て、帝国の端に駐屯地を作った
They lived and they died
彼らは生き、そして死んだ
They prayed to their gods, but the stone gods did not make a sound
彼らは神々に祈ったが、石の神々は音を立てることもなく
And their empire crumbles ‘till all that was left
帝国は崩れ去り、残されたのは
Were the stones the workmen found
作業員たちが見つけた石だけだった
All this time the river flowed
その間、川はずっと流れていた
In the falling light of a Northern sun
降り注ぐ北方の太陽の光の中で
If I had my way
もし僕が儀式を執り行えるなら
I’d take a boat from the river
川に小舟を浮かべたのに
Men go crazy in congregations, they only get better one by one
人は群れるとおかしくなるけど、個々でしか良くなれないんだ
One by one
個々でしかね
曲情報
「オール・ディス・タイム」はイギリスのミュージシャン、スティングの楽曲。
この曲は、1990年12月31日にシングルとしてリリースされ、スティングの3枚目のスタジオアルバム『ソウル・ケージ』(The Soul Cages)に収録された。
解釈
スティングの自伝?
『ソウル・ケージ』はアルバム全体を通して、父親の死を受けたスティングの深い個人的な喪失感を中心に作詞されている。この曲もスティングの父親の死について言及しているが、自伝ではなく、曲の語り手(主人公)を少年ビリーに据えて、父親の死に際してカトリックの儀式を受ける代わりに海に埋葬したいと願う気持ちを歌っている。
「ビリーの父親は造船所の事故で負傷していて、2人の司祭が臨終の床にいる。ビリーは儀式が行われることを望んでいない。父親を連れて海に葬りたいんだ」とスティングはQマガジンで語った。
「父の死についての曲だからレコードとしてはかなり暗いけど、この曲では、このかなり陽気な曲調によって歌詞が引き立てられている。暗いテーマと明るい音楽を組み合わせることは、僕がとても好きなことなんだ。いや、 歌詞は現実離れしたものじゃないけど、フェリー、司祭、馬など、僕が育った故郷のイメージをそのまま再現したものだよ。実際にはない場所だけど、僕の夢の風景だ」
架空の人物ビリーは『ソウル・ケージ』のオープニング曲「アイランド・オブ・ソウルズ」の歌詞でも言及されている。
針の穴って何の話?
Better to be poor than be a fat man in the eye of the needle
「針の穴にはまる太った人間よりも貧しい人間になる方が良い」
新約聖書『ルカによる福音書』18章25節でイエスが発した言葉「金持ちが神の国に入るよりも、ラクダが針の穴を通るほうが簡単だ」(“it is easier for a camel to go through the eye of a needle than for a rich man to enter the kingdom of God”)を、この歌詞に登場する神父が改変して儀式の中で口にしている。
チャールズ・マッケイからの引用?
Men go crazy in congregations, they only get better one by one
人は群れるとおかしくなるけど、個々でしか良くなれないんだ
チャールズ・マッケイの1841年の著書「Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds」(異常な大衆の妄想と群衆の狂気)からの引用だと指摘する海外の方のコメントがあった。「人間は、群れで考える、とはよく言われます。彼らは群れでおかしくなる一方、個々に、ゆっくりと正気を取り戻すだけであることがわかります」(Men, it has been well said, think in herds; it will be seen that they go mad in herds, while they only recover their senses slowly, one by one.)