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曲情報
「Never Had No One Ever」(ネヴァー・ハド・ノー・ワン・エヴァー)は、イギリスのロックバンド、ザ・スミスが1986年6月16日にラフ・トレード・レコードからリリースした3枚目のスタジオアルバム『ザ・クイーン・イズ・デッド』に収録された曲。
歌詞の意味
この曲は長期にわたる孤独の感覚とそれに付随する疎外の痛みを中心に据えている。語り手は自分が育った街を歩くことすら困難に感じるほどの内的負荷を抱えており、二十年以上に及ぶ悪夢としての人生を回想することで、孤独が一時的な状態ではなく、自己像の根幹に浸透した体験であることを示している。
誰にも愛されたことがないという断言は、事実の提示というより、自己評価の極端な低さを象徴しており、その反復は内的傷の深さを強調する。相手の家の外に佇む場面では、接触への渇望と侵入への躊躇が同時に表れ、孤独から抜け出したい欲求と、それを阻む自己不信が交錯している。
全体として、語り手は人とのつながりを強く望みながらも、自身がそこに値しないと考えてしまう心理から抜け出せず、その循環が静かに描かれている。
インタビュー情報
1986年、フロントマンのモリッシーはメロディー・メーカー誌に、この曲は故郷マンチェスターでいる時に落ち着かない気持ちになることついて歌ったものだと説明した。「『ネヴァー・ハド・ノー・ワン・エヴァー』には、『自分が育ったこの街を、落ち着かずに歩いていると、本当に悪い夢を見た。その夢は20年7ヶ月27日続いた。一度も誰もいなかった』という歌詞がある。それは、自分が生まれた街、家族全員が住んでいた街を歩くのがまだ落ち着かなかった20歳のときのフラストレーションだった。家族はもともとアイルランド出身だが、50年代からここに住んでいた。『ここは自分の土地だ。ここは自分の故郷だ。この人たちを知っている。ここは自分の街だから好きなことをすればいいんだ』と感じたことがなかったのは、ずっと不思議だった。決してそう思えなかったんだ。私は決して気楽に歩くことができなかった」

