【曲解説】Hank Williams – Lost Highway

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曲情報

盲目のシンガーソングライターによって作詞作曲された

1948年に盲目のカントリーシンガーソングライターであるレオン・ペイン(Leon Payne)によって作詞作曲され、リリースされた曲。ハンク・ウィリアムズがリリースしたのは、この翌年の1949年である。

ハンク・ウィリアムズの代表曲?

ハンク・ウィリアムズは、Rolling Stone誌が選ぶ史上最も偉大なカントリーアーティスト100(100 Greatest Country Artists of All Time)において第2位に選ばれる程のカントリー界のビッグネームだが、この曲はそのハンク・ウィリアムズが自身で書いたわけでもなく、ヒットチャートにもほとんど載らなかったが(カントリーチャートで12位)、皮肉にもこの曲はハンク・ウィリアムズの代表曲として広く知られている。

ロスト・ハイウェイとローリング・ストーンの元祖

この曲は音楽界で最も有名な2つの比喩を後世に残した。それは、ロスト・ハイウェイローリング・ストーンである。

どちらのイメージも「移動を続けるものの / しばしば暗い場所に行き着く / 彷徨う精神」を表している。夢を追うために街を離れた多くのミュージシャンはこれらのコンセプトに共感し、自身の曲に使用した。

レオン・ペインは、あちこちヒッチハイクしながら仕事探しに苦労した後に「ロスト・ハイウェイ」を書いた。歌詞は、彼自身の旅での経験と直面した困難からインスピレーションを得たものだった。

ロスト・ハイウェイという言葉は次の作品に登場する。

・Emmylou Harrisの”All I Left Behind” と “Guitar Town”
・Beckの”Heart Is A Drum”
・Lee Ann Womackの”Happiness”
・Green Dayの”Jesus Of Suburbia”
・Bon Joviの”Lost Highway”
・Willie Nelsonの”Lost Highway”

またデヴィッド・リンチ監督も同名のタイトルの映画を公開した。

一方「ローリング・ストーン」という言葉の由来をたどると、「転がる石には苔もつかない」という聖書の時代の諺にまで遡るが、この曲の歌詞が音楽界に「ローリング・ストーン」という言葉を広めた。ボブ・ディランの有名な曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」(1965)も、「ロスト・ハイウェイ」から影響を受けて生み出された。またマディ・ウォーターズの「ローリン・ストーン」はハンク・ウィリアムズが「ロスト・ハイウェイ」をリリースした翌年の1950年のリリースだった。そして、1967年11月9日に創刊された音楽雑誌のローリング・ストーン誌は、雑誌名の由来として聖書の「転がる石には苔もつかない」と、マディ・ウォーターズとボブ・ディランの影響だったと声明を出している。

歌詞の意味

この曲は罪と放浪の果てに自らの人生を悔いる語り手が、破滅へ至る道のりを振り返りつつ警句として語りかける構成をとる。酒や嘘、刹那的な誘惑に流されるうちに、若さゆえの未熟さが転落の引き金になり、気づけば祈りも届かない地点まで来てしまったという自己認識が繰り返される。語り手はもはや元に戻れないと悟りつつ、その経験を若者への忠告へと転化し、同じ道を辿るなと強く促す。全体として、転落の必然性と後悔が静かに重なり、人生の教訓として語り継がれる寓話性の強い作品となっている。

その他の動画

エリオット・スミスのカバー

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