【曲解説】IVE – GOTCHA (Baddest Eros)

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曲情報

「GOTCHA(Baddest Eros)」(ガッチャ [バッデスト・エロス])はSTARSHIPエンターテインメント所属の韓国のガールズグループ、IVE(アイヴ)の曲。この曲は4thミニアルバム「IVE SECRET」の収録曲として2025年8月25日午後6時にリリースされた。

歌詞の意味

「GOTCHA (Baddest Eros)」は、“恋の主導権を握る側”の視点を徹底的に拡張した曲で、IVEが持つ挑発的な美学の中でもかなり“狩る側の女神”という設定が強い作品になっている。古典的な「エロス(愛の神)」のモチーフを使いながら、相手の欲望や本音を読んだ上で翻弄し、境界線を引いて支配するという構造が中心で、恋愛の“権力関係”をゲームのように扱っているのが特徴である。

この曲で描かれる語り手は、誘惑される側ではなく、相手の心を奪うタイミングまで計算し尽くした存在として描かれる。神話や儀式のようなイメージ(ベール、赤いキャンドル、myth)は、恋愛を運命や偶然ではなく、自分のコントロール下に置くための舞台装置として機能している。つまり恋は“起こるもの”ではなく“仕掛けるもの”という世界観である。

繰り返される「Get ya, got ya」は捕食のリズムに近く、恋を追いかけるのではなく、見透かし、把握し、掌の上で動かすという動的な支配関係の強調になっている。相手は純真で読まれやすい存在であり、語り手は“正体の分からない不気味さ”を意図的に保持している。その曖昧さが恋の緊張感と速度を作り、ミステリアスな魅力という武器になっている。

また、IVEの“清楚×危険”という二面性の美学が強く出ており、自分は「good girl」でもあり「bad vibe」でもあるという言い方は、イメージやロールを自在に切り替える力の表象となっている。相手にすべてを見せず、見せたい部分だけを戦略的に公開するという態度は、現代的な恋愛における“自己演出”の巧妙さを反映している。

ブリッジでは、謎を残したまま互いの距離を近づけることが快感である、という視点が提示される。自分を完全に明かさないことが関係の魅力を維持する条件であり、恋の正体は“未知であることそのもの”だという解釈が浮かび上がる。

総じてこの曲は、恋愛を支配のゲームとして再構築し、ミステリーと誘惑の狭間で相手を翻弄する“エロス的権力の掌握”をテーマにした作品である。IVEの持つ知性と挑発の美学が最もダークに発揮されており、恋をファンタジーでもドラマでもなく“戦略・心理戦・罠”として描いた点に独自性がある。

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