【曲解説】Radiohead – 15 Step

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曲情報

「15 Step」は、イギリスのロックバンド、レディオヘッドの曲で、この曲は2007年10月10日にリリースした7枚目のスタジオアルバム『In Rainbows』に収録された。プロデューサーはナイジェル・ゴドリッチ。

5/4拍子の曲

「15 Step」は、あまり使われない5/4拍子で書かれている。5/4拍子の曲として最も有名な例は、デイヴ・ブルーベック・カルテットの「Take Five」である。Radioheadの楽曲で、変則的な拍子を用いた別の例としては、『Amnesiac』収録の「Morning Bell」があり、こちらは7/8拍子で書かれている。ライブでは、バンドがこれらの曲を続けて演奏することもある。ニューヨーク・マガジンのインタビューで、エド・オブライエンは、2006年6月にマディソン・スクエア・ガーデンで行われたコンサートでそうした構成にした理由を次のように説明している。「『15 Step』と『Morning Bell』をつなげたのは意図的だった。『15 Step』は5/4で、『Morning Bell』は7/8。少し手拍子があって、観客がビートをつかめれば参加できるのがいい。スペインでは、聴衆は『Morning Bell』が大好きだよ。あの速い手拍子はフラメンコ音楽みたいだからね。でも(英米の)西洋圏では、僕らはあまりリズムに強くない。4/4以外の拍子は、多くの人にとって難しいんだ」

歌詞の意味

この曲は、同じ失敗や出発点に何度も戻ってしまう感覚を通して、主体性の喪失と自己への不信を描いている。語り手は過去の選択を悔いながらも、再び同じ状況に陥る理由を理解できず、その循環性そのものが問いとして提示される。注意を逸らさないと誓う言葉は反省と決意を示す一方で、他者に操られ、用済みになると切り捨てられる関係性が繰り返し暗示され、無力感が強調されている。

途中で語られる、かつては問題なく機能していた存在が崩れていく描写は、個人の変質だけでなく、環境や時代の変化によって価値や言葉が空洞化していく過程を示唆する。些細な流行や表面的な反応が積み重なり、一定の段階を越えた先に急激な破綻が待っているという感覚が、歩数と落下の比喩によって表現される。全体として、前進しているつもりでも結果的に同じ場所へ戻ってしまう構造が一貫して描かれ、個人が抗いきれない循環や不可避性が主題として浮かび上がっている。

「A Punchup at a Wedding」と同時期に生まれた

「A Punchup at a Wedding」の初期草案では「15 Step」の歌詞も含まれていた。

タイトル「15 Steps」の意味

タイトルの意味についての解釈のひとつは、大半のポピュラー音楽が4/4、あるいは少数ながら3/4で書かれており、ダンスでリズムを保つには12ステップや16ステップが必要になる、という考え方である。しかし、5/4拍子の曲に合わせて踊る場合なら、15ステップのダンスで問題なくリズムを保てる、というわけだ。別の可能性としては、エルサレム神殿の中庭にある15段の階段を指しているという説もある。そこでは、供犠の際にレビ人たちが立ち、「都上りの歌」(詩篇120〜134)と呼ばれる15の詩篇を歌っていた。

インタビュー情報

2006年8月号の『Mojo』誌のインタビューで、トム・ヨークはこの曲のレコーディングの背景を次のように語っている。「『15 Steps』っていう曲があって、これは去年やった狂ったようなリズム実験から生まれたんだ。最初は『これをどうやってライブでやるんだ?』って思った。でも、Peachesの『F–k The Pain Away』をよく聴いていて、それが間接的に、まったく違うものに仕上げるきっかけになった。『Airbag』みたいなベースラインがあって、5/4拍子で、全体を通して“手拍子”のグルーヴがある。歌詞もすごく気に入っているよ」