【曲解説】The Police – Can’t Stand Losing You

動画

曲情報

「Can’t Stand Losing You」(キャント・スタンド・ルージング・ユー)は、イギリスのロックバンド、ポリスのデビューアルバム『Outlandos d’Amour』からの楽曲で、1978年に発売された。シングルとしては「Roxanne」に続くリリースで、1979年の再発時には全英シングルチャートで2位を記録した。スティングが自殺を題材に書いた楽曲である。

作曲

「Can’t Stand Losing You」の歌詞は、スティングによれば「ティーンエイジャーの自殺についてで、常にちょっとしたジョークのようなもの」であり、わずか5分で書き上げたという。楽曲は「Roxanne」と音楽的に似ており、どちらもレゲエの影響を受けつつロック調のコーラスを持つ。エコープレックス・ディレイユニットが使用されており、スティングは「奇妙で高い声のアップダウンの歌い方」と自ら形容している。

B面曲の「Dead End Job」は、コープランドが高校時代に作ったリフに基づいており、スティングが教師という職業(彼はバンド加入前に教師をしていた)を「行き止まりの仕事」と描いている。1993年のボックスセット『Message in a Box』で初めてCD化された。

レセプション

Cash Boxは、本作のリフレインの力強さを称賛し、「ボーカルは3人編成のインストゥルメンタルのエネルギーに見事に匹敵する」と評した。

商業的成功

オリジナルシングルは1978年に最高42位を記録したが、1979年6月の再発時には全英チャートで2位に迫った。また1980年にはシングルコンピレーション『Six Pack』の一部として再びチャート入りし、最高17位を記録した。1995年にはライブバージョンがシングルとして発売され、27位を記録している。

論争

オリジナルシングルは、その物議を醸したジャケットのためBBCによって放送禁止となった。スティングは「問題となったのは、シングルのカバー写真で、スチュワートが首に縄をかけて氷の上に立ち、氷が溶けるのを待っている姿だったからだ」と語っている。写真はピーター・グラヴェルによるものである。

ライブパフォーマンス

アルバム『Reggatta de Blanc』収録のインストゥルメンタル曲「Reggatta de Blanc」は、「Can’t Stand Losing You」のライブ即興演奏から生まれたもので、1981年にグラミー賞最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンスを受賞した。

ポリスは1978年にBBC2の音楽番組『The Old Grey Whistle Test』でこの曲を演奏し、これが彼らのテレビ初出演となった。なお、この時スティングはメイク時にヘアスプレー缶の事故で病院に運ばれたため、大きなサングラスをかけて出演した。

ミュージックビデオ

本曲には2種類のミュージックビデオが存在する。ひとつはステージ上で演奏するバンドを撮影したもので、スティングは大きな眼鏡をかけている。この映像は「Message in a Bottle」のビデオと同時期に撮影されており、メンバーの衣装も同じである。もうひとつは赤い背景の前で演奏するバージョンで、こちらは「Roxanne」の赤背景版と同じ日に撮影された。

歌詞の意味

この曲は、別れを受け入れられない主人公が拒絶され続ける苦しさと極端な思考に追い込まれていく心情を生々しく描いている。何度も連絡を試みても返事はなく、送ったものは突き返され、相手の周囲からも強い拒否を感じる中で、彼は自尊心をすり減らしながら必死にしがみついている。

相手にとって自分はもう必要ないと分かっていても、その事実にどうしても耐えられず、喪失への恐怖と捨てられた痛みが募っていく。日常の意味さえ見失うほど追い詰められ、感情は徐々に破滅的な方向へ傾いていく。別れ際の言葉には強がりと絶望が入り混じり、どうにか相手に自分の存在の重さを伝えようとする必死さが滲む。

全体として、拒絶された恋の痛みが理性を奪い、孤独や混乱が暴走していく様を描いた曲。愛する人を失う恐怖に圧倒され、極端な言葉に走ってしまう未熟さや切実さが苦しいほど鮮明に表れている。もし似た感情を覚えたときは、一人で抱え込まず、信頼できる相手や相談先に気持ちを預けることがとても大切だ。

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