【曲解説】Queen – Bicycle Race

動画

曲情報

「Bicycle Race」(バイシクル・レース)は、イギリスのロックバンド、クイーンの楽曲であり、1978年のアルバム『Jazz』に収録され、シングルとして「Fat Bottomed Girls」との両A面で1978年にリリースされた。リードボーカルのフレディ・マーキュリーが作詞作曲を手がけ、イギリスのシングルチャートで最高11位、アメリカのBillboard Hot 100で最高24位を記録した。

この楽曲は、1981年のコンピレーション・アルバム『Greatest Hits』にも収録されている。ミュージックビデオには、ウィンブルドン・スタジアムでの自転車レースに参加する裸の女性たちが登場し、物議を醸した。この映像は編集されたり、一部の国では放送禁止となった。楽曲自体も、自転車をテーマとした様々なメディアで使用されている。

作曲

この楽曲は、クイーンがアルバム『Jazz』をレコーディングしていたモントルーのマウンテン・スタジオで、マーキュリーが1978年のツール・ド・フランス第18ステージを観戦したことにインスパイアされて作られた。楽曲は、楽器なしのコーラスから始まり、その後2つのヴァースがブリッジでつながり、それぞれサビへと展開する。曲の中盤には、多数の自転車のベルによるソロが挿入されている。曲の構成は独特で、転調が多用され、ブリッジ部分では4/4拍子から3/4拍子に変化し、多重録音されたボーカルとギターハーモニーが特徴となっている。

評価

Cash Boxは「陽気で演劇的な自転車への賛歌」と評し、Record Worldは「独創的な歌詞とハーモニーが洗練されている」と評価した。

歌詞

歌詞には当時の社会・政治・ポップカルチャーに関する言及が多く含まれており、宗教、ベトナム戦争、ウォーターゲート事件、コカイン、さらにはピーター・パン、フランケンシュタイン、スーパーマンといった架空のキャラクター、『ジョーズ』や『スター・ウォーズ』といった映画への言及が見られる。

ギタリストのブライアン・メイによると、この楽曲はマーキュリー自身の自転車愛を描いたものではなく、実際にはマーキュリーは特に自転車を好んでいたわけではなかったという。また、歌詞に「I don’t like Star Wars」とあるものの、マーキュリーは『スター・ウォーズ』のファンだったとされる。

「Bicycle Race」は「Fat Bottomed Girls」と相互に言及し合う構成になっている。「Bicycle Race」には「Fat bottomed girls, they’ll be riding today」という歌詞があり、「Fat Bottomed Girls」では「Get on your bikes and ride!」と呼びかけるフレーズが登場する。

ミュージックビデオ

デニス・ド・ヴァランスが監督したミュージックビデオには、65人の裸の女性モデルが登場し、ロンドン南西部のウィンブルドン・グレイハウンド・スタジアムで自転車レースを繰り広げる様子が収められている。この撮影のために、クイーンはスタジアムと数十台の自転車を1日レンタルした。しかし、レンタル会社は自転車が裸の女性によって使用されたことを知ると、すべてのサドルを購入するよう求めた。

オリジナルの映像では特殊効果でヌードが一部隠されているが、その過激な内容のため、YouTubeでは年齢制限がかけられ、一部の国(中国など)では放送禁止となっている。

歌詞の意味

この曲は他人の価値観や社会が押しつける基準に縛られず、好きな場所へ自由に進みたいという衝動を自転車という軽快なイメージに託して描いている。周囲との意見の食い違いが次々と並べられ、どんな議論や権威よりも自分の望む方向へ向かうことそのものが重要だという姿勢が際立つ。社会的な騒ぎや重い問題から距離を取り、しがらみを抜け出して、気の向くまま走り出す解放感が曲全体の核となっている。

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