動画
ミュージックビデオ
オーディオ
曲情報
「Orinoco Flow」(オリノコ・フロー、別題:「Orinoco Flow(Sail Away)」)は、アイルランドのシンガーソングライター、Enya(エンヤ)の楽曲で、2作目のスタジオ・アルバム『Watermark(ウォーターマーク)』(1988年)に収録されている。1988年10月3日にイギリスではWEA Recordsから、翌年にはアメリカでGeffen Recordsからリリースされた。この曲はUKシングルチャートで3週連続1位を獲得し、第32回グラミー賞で最優秀ミュージック・ビデオ賞および最優秀ニューエイジ・パフォーマンス賞にノミネートされた。2020年には『ガーディアン』紙の「イギリスの歴代ナンバーワン・シングル100選」で第77位に選出されている。
背景
この楽曲は1988年10月3日に『Watermark』のリード・シングルとしてリリースされた。ベルギー、アイルランド、オランダ、スイス、イギリスなど複数の国でチャート1位を獲得し、グローバルなヒットとなった。アメリカでは1989年4月にBillboard Hot 100で24位を記録した。
タイトルの「Orinoco」は、レコーディングが行われたOrinoco Studios(現在のMiloco Studios)と、南米のオリノコ川の両方に由来している。ピチカート風のコードは、Roland D-50シンセサイザーのパッチをカスタマイズして作られた。エンヤはWEAと契約しており、同社のロブ・ディッキンズが『Watermark』のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。歌詞中の「with Rob Dickins at the wheel」は彼へのオマージュであり、共プロデューサーのロス・カラムは「We can sigh, say goodbye / Ross and his dependencies」というフレーズで言及されている。
歌詞
歌詞は「世界で最も高額なギャップイヤーの旅程」とも形容されており、地理の授業のように多くの地名が登場する。歌詞に登場する地名には、フィジー、タイリー島、ペルー、バリ島、セブ島などが含まれている。
レガシー
1994年、この曲はヴァージン・レコードのニューエイジ音楽コンピレーション・アルバム『Pure Moods』にライセンスされ、さらなる認知度の向上に寄与し、同レーベルにとってマルチ・プラチナ級の成功となった。
1998年には、リリース10周年を記念したスペシャル・エディション・リミックス・シングルが発売された。
2015年の『アイリッシュ・タイムズ』紙のインタビューで、エンヤは「アーティストとしての夢は、常に“長く愛されること”」であると語っており、自身の楽曲がどう記憶されているかにこだわりすぎないようにしている。また、「Orinoco Flow」は世代を超えた人気に貢献したとし、「以前この曲を聴いていた人たちが、今では自分の子どもにも私の音楽を聴かせている」と述べている。別のインタビューでは、「“Sail away”って声をかけられたり、口笛で曲の一節を吹かれたりする。すごくうれしいし、まったく飽きることはない」と語っている。
歌詞の意味
この曲は現実の枠を離れ、世界中の海へ自由に漕ぎ出していくような解放感と幻想的な旅のイメージを広げている。
地名が次々と連なりながらも、それは具体的な旅というより心の中の航海で、知らない景色へ向かう高揚や遠くへ連れていかれるような静かな興奮が波のように寄せてくる。
反復するフレーズと透明感のある響きが広大な海原を思わせ、日常を離れてどこまでも漂っていけるような心地よい浮遊感に満たされる曲になっている。
オリノコ(Orinoco)とは?どこ?
オリノコ川(Orinoco)は、南米の北部を流れる大きな川。主にベネズエラを流れ、一部はコロンビアとの国境を通る。全長はおよそ2,140kmで、アマゾン川に次ぐ規模の大河。流域には熱帯雨林や草原(リャノ)が広がり、生態系が豊か。流れは最終的にベネズエラ東部のオリノコ・デルタを通って大西洋に注ぐ。
Enyaの「Orinoco Flow」では、この川が現実と空想の航海をつなぐ象徴として登場している。
ロブ・ディッキンスって誰?
ロブ・ディッキンスは、EnyaをワーナーUKに迎えた重要人物で、アルバム制作やアートディレクションにも深く関わっており、彼女の音楽的なキャリアに大きな影響を与えた。「Orinoco Flow」の中で名前が言及されているのは、その功績を象徴的に称えたもの。


