【曲解説】Sting – Angel Eyes

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曲情報

「Angel Eyes」(エンジェル・アイズ)は、1946年にマット・デニスが作曲し、アール・K・ブレントが作詞したポピュラーソングである。1953年の映画『Jennifer』で初めて披露された。この映画では、マット・デニス自身がピアノを弾きながら歌い、アイダ・ルピノやハワード・ダフらがその曲に合わせて踊るシーンがある。

作曲

「Angel Eyes」はジャズ・スタンダードとして、多くのアーティストにインスピレーションを与えてきた。多くの歌手がこの曲を録音しており、1953年のナット・キング・コールをはじめ、フランク・シナトラ、ジューン・クリスティ(スタン・ケントンとの共演)、チェット・ベイカー、シャーリー・バッシー、ニール・セダカ、ウィリー・ネルソン(レイ・チャールズとの共演)、スティングなどが知られている。

エラ・フィッツジェラルドは少なくとも4回この曲を録音しており、「Angel Eyes」は彼女のお気に入りの曲だったと語っている。

インストゥルメンタル・バージョンは、ボーカル・バージョンほど多くはないが、ベニー・カーター、モダン・ジャズ・カルテット、デイヴ・ブルーベック、ケニー・バレル、マッコイ・タイナー、ジョー・ロヴァーノ、ゲイリー・トーマス、そして近年ではタイショーン・ソレイやパット・メセニーらによって録音されている。

歌詞の意味

この曲は、語り手が強く惹かれている相手に近づけないまま不安と焦燥に沈んでいく様子を描いている。相手の姿がどこにも見つからず、平静を装おうとしても感情が押し寄せ、心の均衡を失いつつある状態が中心となる。魅惑的な存在として相手を理想化し、その不在が語り手の世界全体を空虚に変えていく構図が強調されている。

酒場で周囲に陽気さを振る舞う描写は、内面の苦しさを隠すための行為として機能し、実らない思いへの逃避がにじみ出る。相手が今どこにいるのか、誰といるのか分からないまま疑念だけが膨らむ過程は、片思い特有の不安として自然に読み取れる。

結末で語り手が場を離れる描写は、抑えきれない執着と落胆が限界に達したことを象徴し、相手の不在が語り手の精神を深く揺るがしていることを示している。全体を通して、報われない恋に囚われた心の軌跡が表現されている。

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