【曲解説】Beck – End of the Day

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曲情報

「エンド・オブ・ザ・デイ」は、アメリカのミュージシャン、ベックによる8枚目のスタジオアルバム『Sea Change』に収録された曲。プロデューサーのナイジェル・ゴドリッチとともにロサンゼルスで2か月にわたってレコーディングされたこのアルバムは、失恋と荒廃、孤独と寂しさをテーマにしている。

Sea Change』1曲目から名曲揃いで、5曲目の”Lost Cause”でアルバムの盛り上がりがピークに達した後、この6曲目で一旦落ち着くことになる。歌詞も元婚約者のリー・リモンを語っているにしては少し盛り上がりに欠ける内容になっている。

歌詞の意味

この曲は、繰り返し訪れる失望や心の消耗を、淡々とした語り口で描きながら、そのたびに同じ痛みがよみがえるという感覚を中心に据えている。語り手は、一日の終わりが早すぎたり遅すぎたりする不安定な時間感覚の中で、感情を押し殺しながら過ぎ去っていく出来事を受け止めていく。表向きは平静を装いながらも、内心では深い傷を負っているという矛盾が、静かな反復として示されている。

過去には縛られないと自分に言い聞かせながらも、記憶の残滓が重圧のようにのしかかり、その影響から逃れられない姿が浮かび上がる。理不尽な罪を背負わされたかのような比喩は、外界の出来事以上に内面の葛藤が苦しみの源であることを暗示し、逃れようとしても追いかけてくる痛みの性質を象徴している。何度経験しても慣れることがないという反復的な告白は、感情の鈍化ではなく、むしろ生々しい感覚が残り続けるという事実を際立たせ、日々の終わりに訪れる静かな絶望を描き出している。

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