動画
歌詞&和訳
Mercury falling
世界は目まぐるしく変化している
I rise from my bed
ベッドから起き上がり
Collect my thoughts together
感情を整理して
I have to hold my head
何が起こったのか理解しないと
It seems that she’s gone
彼女がいなくなってしまったようで
And somehow I am pinned by
俺は前に進めなくなっている
The Hounds of Winter
冬の猟犬が
Howling in the wind
風の中で遠吠えをしている
I walk through the day
俺は一日中歩き続け
My coat around my ears
耳までコートですっぽり覆って
I look for my companion
仲間を探す
I have to dry my tears
涙を乾かさなきゃな
It seems that she’s gone
彼女がいなくなってしまったようだが
Leaving me too soon
あまりにも突然すぎる
I’m as dark as December
俺は12月のように暗く
I’m as cold as the Man in the Moon
月の男のように冷たい
I still see her face
未だに彼女の顔が思い浮かぶ
As beautiful as day
陽の光のように美しい顔が
It’s easy to remember
簡単に思い出せる
Remember my love that way
愛する人の顔が簡単に思い浮かぶ
All I hear is that lonesome sound
聞こえてくるのはあの孤独な音だけだ
The Hounds of Winter
冬の猟犬たちが
They follow me down
俺を追いかけてくる
I can’t make up the fire
上手く火を起こせない
The way that she could
彼女がやっていたようには
I spend all my days in the search for dry wood
乾いた木を探すことに日々を費やしてる
Board all the windows and close the front door
すべての窓に板を張って、正面のドアを閉める
I can’t believe she won’t be here anymore
信じられないよ、彼女がもうここにいないなんて
I still see her face
未だに彼女の顔が思い浮かぶ
As beautiful as day
陽の光のように美しい顔が
It’s easy to remember
簡単に思い出せる
Remember my love that way
愛する人の顔が簡単に思い浮かぶ
All I hear is that lonesome sound
聞こえてくるのはあの孤独な音だけだ
The Hounds of Winter
冬の猟犬たちが
They follow me down
俺を追いかけてくる
Awoo, yeah
A season for joy
喜びの季節に
A season for sorrow
悲しみの季節
Where she’s gone
彼女が去ったところへ
I will surely, surely follow
俺もきっと、きっと後を追う
She brightened my day
彼女が俺の日々を明るくしてくれて
She warmed the coldest night
寒すぎる夜を温めてくれたから
The Hounds of Winter
冬の猟犬たちが
They got me in their sights
俺を視界に捉えた
I still see her face
未だに彼女の顔が思い浮かぶ
As beautiful as day
陽の光のように美しい顔が
It’s easy to remember
簡単に思い出せる
Remember my love that way
愛する人の顔が簡単に思い浮かぶ
All I hear is that lonesome, lonesome sound
聞こえてくるのはあの孤独な、孤独な音だけだ
The Hounds of Winter
冬の猟犬たちが
They carry me down
俺を引きずり下ろす
Awoo, yeah
Awoo
Hey, hey
Hoo
和訳リンク
曲情報
「ザ・ハウンズ・オブ・ウインター」は1996年2月26日にイギリスのミュージシャン、スティングによってリリースされた5枚目のアルバム『マーキュリー・フォーリング』に収録された曲。
2009年にスティングの9枚目のスタジオアルバムである『If on a Winter’s Night…』にもこの曲が収録された。
解釈
愛する人を失った喪失感を歌った曲。死別していると解釈することもできる。
Mercury fallingってどういう意味?
日本版CDの和訳カードでは「気温が下がり」というような訳だったため、ずっとそういう意味だと思っていたが、改めて思い返すと水銀計の目盛りは自然には下がらず、下げるときは振る必要があるため、この訳はおかしいなと思った。仮にスティングがそのような勘違いをしていたとして、そんな曲をその後もお気に入りの曲としてライブで何度も歌ったり、コンピレーションアルバムに入れたりするだろうかと。そして、自分で調べてみたところやはり誤訳だということがわかった。
インタビューの中でスティングは「Mercury falling」の意味について以下のように述べている。
mercuryについては非常に多くの言及がある。つまり、mercuryは金属であり、液体であり、元素であり、神であり、惑星だ。「mercurial」とは概念であり、非常に価値のある表現だと思う。
ボルチモア・サン紙、96年3月
mercurial … ①[文語]突然且つ頻繁に変化する②[文語]知的で、熱心で、素早い③[医療・専門用語]水銀を含む、または水銀によって引き起こされるもの
また別のインタビューではこうも言っている。
新しいアルバムのタイトルは『Mercury Falling』。これは私が最初に書いた詞で、『The Hounds Of Winter』という最初の曲の最初の行だった。でも、この詞には全体に多くの影響を与える意味があり、いろんなことを意味している。その言葉には占星術的な文脈があり、天文学的な文脈があり、気象学的な文脈があり、象徴的な文脈があり、mercurialであるという概念全体であると、それが私がいつも答えてきたイメージなんだ。つまり、このレコードにはたくさんのスタイルがあって、ジャンルからジャンルへと移りながら、また戻ってくる。これは非常にmercurialなレコードだから、このレコードを『Mercury Falling』と呼ぶのが正しいように思えた。そしてレコードの終わりには、「Mercury Falling」というこの概念に戻る。再び立ち上がるためにね。
「マーキュリー・フォーリング」プロモーション・インタビュー・ディスク、’96
つまり、スティングはこの「Mercury falling」という言葉にいろんな意味を持たせているので、日本語の短いフレーズに訳してしまうのはナンセンスなようだ。しかし、訳の出だしから「マーキュリー・フォーリング」と書き出すと、いきなり意味不明すぎるので、メインの意味であるmercurialの「突然且つ頻繁に変化する」という意味をここでは取って、文脈的に自然になるように「世界は目まぐるしく変化している」と訳した。
「世界」を補ったのは、アルバム『Mercury falling』の最後の曲である「リチウム・サンセット」と「ザ・ハウンズ・オブ・ウインター」で使われている「mercury falling」が同じ意味で使われているため、そこからの補足である。
And I’ll ride the turning world
そして俺は変わりゆく世界を上手く生きていくよ
Into another night
また別の夜がやって来る
See mercury falling
ほら、また急速に変化していく
その他の歌詞の意味
It seems that she’s gone
彼女がいなくなってしまったようだが
Leaving me too soon
あまりにも突然すぎる
まさにmercurialな部分。「Mercury falling」という一節をコンセプトに曲のイメージを広げて生み出された曲だということがわかる。
Man in the Moon
民間伝承や童話などで月に住んでいるとされるキャラクターのこと。
I can’t make up the fire
上手く火を起こせない
The way that she could
彼女がやっていたようには
物理的な火の起こし方と、彼女の愛が自分に火をつけてくれていたことをかけている。
I spend all my days
In the search for dry wood
乾いた木を探すことに日々を費やしてる
スティングの歌詞によく出てくる表現の一つが「君に代わる人はいない」という表現だが、ここもその一つ。自分の愛を、喜びの火をつけられる乾いた木を探すが、どれも湿っていて火がつかない。
A season for joy
喜びの季節に
A season for sorrow
悲しみの季節
ここもmercurialな部分。彼女がいたときは「喜びの季節」だったのに、突然いなくなって「悲しみの季節」が訪れた。「気象学的な文脈」とも言える。
Where she’s gone
彼女が去ったところへ
I will surely, surely follow
俺もきっと、きっと後を追う
彼女が死別しているなら、これは自分も死ぬことをほのめかしているフレーズと言える。