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歌詞&和訳
There’s a blue bird at my window
窓の桟に青い鳥が羽を休めている
I can’t hear the songs he sings
でも僕には彼の歌が聞こえない
All the jewels in heaven
天に散らばる宝石も
They don’t look the same to me
同じようには見えない
I just wade the tides that turned
僕はただ波打つ潮をかき分けて進もうとしているだけ
‘Til I learn to leave the past behind
過去を置き去りにする術を学ぶまで
It’s only lies that I’m living
僕はただ偽りを生きているだけ
It’s only tears that I’m crying
僕が流してるのはただの涙
It’s only you that I’m losing
僕が失おうとしてるのは君だけだ
Guess I’m doing fine
たぶん僕は平気なんだろう
All the battlements are empty
銃眼付きの胸壁には誰もいなくて
And the moon is laying low
月も低く沈んでいる
Yellow roses in the graveyard
墓地には黄色い薔薇があるけれど
Have no time to watch them grow
それが花開くのを眺めてる時間はない
Now I bade a friend farewell
今僕は友に別れを告げる
I can do whatever pleases me
自分を喜ばせるためならなんだってできるんだ
It’s only lies that I’m living
僕はただ偽りを生きているだけ
It’s only tears that I’m crying
僕が流してるのはただの涙
It’s only you I’m losing
僕が失おうとしてるのは君だけだ
Guess I’m doing fine
たぶん僕は平気なんだろう
Press my face up to the window
窓に顔を押しあて
To see how warm it is inside
内側の暖かさを知る
See the things that I’ve been missing
そうして自分が失ってきたものを見てるんだ
Missing all this time
これまでずっと失ってきたものを
It’s only lies that I’m living
僕はただ偽りを生きているだけ
It’s only tears that I’m crying
僕が流してるのはただの涙
It’s only you that I’m losing
僕が失おうとしてるのは君だけだ
Guess I’m doing fine
たぶん僕は平気なんだろう
和訳リンク
曲情報
「ゲス・アイム・ドゥーイング・ファイン」は、アメリカのミュージシャン、ベックによる8枚目のスタジオアルバム『Sea Change』に収録された曲。2002年9月24日にゲフィンレコードからリリースされた。プロデューサーのナイジェル・ゴドリッチとともにロサンゼルスで2か月にわたってレコーディングされたこのアルバムは、失恋と荒廃、孤独と寂しさをテーマにしている。
この曲と「Lost Cause」がプロモーション限定シングルとしてリリースされた。
ベックはアルバム『ミッドナイト・ヴァルチャーズ』のツアー後、ベックの婚約者でスタイリストのリー・リモンとの9年間の関係に終止符を打った。ベックの30歳の誕生日の3週間前、リモンがロサンゼルスのバンド、ウイスキー・ビスケットのメンバーと不倫関係にあったことを発見したからだ。ベックは憂鬱と内省の時期に陥り、その間に彼は『シー・チェンジ』で暗いアコースティック・ベースの曲を書いた。彼はアルバムの12曲のほとんどを1週間で書いた。
解釈
青い鳥(L’Oiseau bleu)はモーリス・メーテルリンク作の童話劇からだろうか。この童話の中で青い鳥は病を治せる幸運の鳥として登場する。
窓の桟に青い鳥が羽を休めている
でも僕には彼の歌が聞こえない
しかし、その鳥の歌が聞こえないと言っていることから、幸福に目を向けられていない状態を指していると思われる。
天に散らばる宝石も
同じようには見えない
続く歌詞でも似たような内容になっている。「天に散らばる宝石」=「綺麗な星空」も以前のようには見えない。ロマンチックな気分にはなれない。何を見ても気分が良くならない、しらけた状態。鬱状態。
僕はただ波打つ潮をかき分けて進もうとしているだけ
過去を置き去りにする術を学ぶまで
過去とはリー・リモンの不倫のこと。波打つ潮は「社会を生きる上でおとずれる困難」あるいは「人生に翻弄され、揺れ動く心」と解釈できる。
僕はただ偽りを生きているだけ
僕が流してるのはただの涙
僕が失おうとしてるのは君だけだ
たぶん僕は平気なんだろう
このサビの歌詞からわかることは、失恋による激しい感情的な高ぶりというよりもむしろ静かな悲しみ、諦観、鬱状態ということ。
銃眼付きの胸壁には誰もいなくて
月も低く沈んでいる
銃眼付きの胸壁に誰もいないということは見張られていない状態ということ。月が低く沈んでいると辺りは真っ暗になり、自分も視認されなくなる。つまりここでは誰にも見張られていない人間関係を断った生活を意味していると解釈できる。
墓地には黄色い薔薇があるけれど
それが花開くのを眺めてる時間はない
黄色い薔薇は友情の象徴として広く知られている。それが墓地にあって、成長するのを眺める時間なんてないというのは、つまり友情を深める気がないということ。
今僕は友に別れを告げる
自分を喜ばせるためならなんだってできるんだ
直前の歌詞の解釈を裏付ける部分。ところで、リー・リモンとは同じカリフォルニア生まれカリフォルニア育ちで共通のスタイリストとミュージシャンという関係もあり、共通の友人が多かった。そして、”Lost Cause“でも「彼らは君の秘密を知っているし、君も彼らの秘密を知っている」「この街は狂ってるけど、誰も気にしてない」と言ってるように、リー・リモンの裏切り行為を知っていた共通の友人もいたのだろう。ベックはこの歌詞の通り、事件後、多くの友人に別れを告げることになった。
窓に顔を押しあて
内側の暖かさを知る
そうして自分が失ってきたものを見てるんだ
これまでずっと失ってきたものを
エモい部分。