【和訳】Radiohead – The Trickster

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歌詞&和訳

Rust in the mountains, rust in the brain
山の赤褐色、脳の錆
The air is sacred here in spite of your claim

君の主張にもかかわらず、ここの空気は神聖だ
Up on the rooftops, out of reach

屋上の上に立っても、手が届かない
Trickster is meaningless, trickster is weak

トリックスターに意味はなく、トリックスターは弱い

He’s talking out the world, talking out the world
彼は世界について話している、世界について話している

Hey, hey, hey, this is only halfway
まだたった半分の道程に過ぎない
Hey, hey, hey, this is only halfway

まだたった半分の道程に過ぎない

I wanted you so bad, that I couldn’t say
君のことが欲しすぎて、言い出せなかった
All things fall apart

そんな気持ちも全て消え去る
We wanted out so bad, that we couldn’t say

僕らは別れたすぎたけど、言い出せなかった
These things fall apart

こういうものは崩れ去る

We’re talking out the world, talking out the world
僕らは世界について話している、世界について話している

Hey, hey, hey, this is only halfway
まだたった半分の道程に過ぎない
Hey, hey, hey, this is only halfway

まだたった半分の道程に過ぎない

Truant kids, a can of brick dust worms
不登校の子供たち、山積みになった複雑で厄介な事情
Who do not want to climb down from their chestnut tree

彼らは栗の木から降りたがらない
Long white gloves, police check carefully

長くて白い手袋で、警察は入念に調べる
Escaped from the zoo, the perfect child facsimile is

動物園から逃げ出した完璧な子供の複製を

Talking out the world, talking out the world
世界について話している、世界について話している

Hey, hey, hey
Hey, hey, hey

和訳リンク

曲情報

 「ザ・トリックスター」は1994年9月26日にリリースされたレディオヘッドのEP『My Iron Lung』に収録された曲。

解釈

 めちゃくちゃ難解な曲でイギリス人にも解釈することが不可能な曲。”Trickster is meaningless”の歌詞通りトリックスターの歌詞には意味なんてないのだろうか。

 音楽雑誌B-sidesの1994年9月号のレディオヘッド特集にトリックスターの解説があるので見てみよう。

Not immediately understandable line like “A can of brick dust worms” and “Please tread carefully/Escaped from the zoo” still manage to suggest a world gone very wrong.

 訳:即座には理解できない“A can of brick dust worms”や “Please tread carefully/Escaped from the zoo” のような一文は、依然として世界がとても間違った方向に進んでいることをなんとか示唆しようとしている。

 ”Please tread carefully”という歌詞は存在しない。ググってみたけど、この雑誌の文字起こししかヒットしないので、歌詞の別ver.というわけでもなく、おそらく”police check carefully”の歌詞を聞き間違えていると思われる。

“A can of brick dust worms”

 “a can of worms“という熟語には「こみいった問題、複雑な事情」という意味がある。しかし、ここにbrick dust「レンガのがれき」が加わると英語圏のネイティブでも何を言ってるのかわからないフレーズとなる。ここでは「山積みになった複雑で厄介な事情」と訳してみた。

 ちなみに「Street Spirit」に対してのインタビューの中でトムは次のように答えている。

Q:ザ・ベンズのレコーディングのとき、レディオヘッドの理想的なサウンドに実際に出会ったと感じたのはその時が初めて?

トム:いや、レコーディング中ずっと「くそー、俺はレンガの壁にぶつかっている」といういつものシナリオだった笑

 「くそー、俺はレンガの壁にぶつかっている」(‘No, I’m hitting a brick wall’)はhit a brick wallの形で「物事が進まなくて停滞している」ことや、「不可能なことをやろうとしている」ことを表している。

 毎回、レコーディングの度にこの熟語が頭に現れているのなら、“A can of brick dust worms”の”brick dust“も、なかなか解決できない厄介な問題と解釈してもいいかもしれない。

“the perfect child facsimile is”

 ファクシミリは「〔文書などの完全な〕複製、模写」のこと。完璧な子供の複製。

超絶意味不明ポイントを訳す

不登校の子供たち、山積みになった複雑で厄介な事情
彼らは栗の木から降りたがらない
長くて白い手袋で、警察は入念に調べる
動物園から逃げ出した完璧な子供の複製を

 ネイティブでも意味がわからない超絶意味不明な歌詞をなんとか文脈がつながるように訳してみた。最初の不登校の子供たちと動物園から逃げ出した完璧な子供の複製はもしかしたら同じ子供なのかもしれない。一方はkidでもう一方はchildだけど。警察に調べられるというのは不良を意味しているのだろうか?平日の昼間から学校に行かずうろついている子供に対する補導、事情聴取?動物園が学校のことだとすると、学校から逃げ出した不登校の子供を注意深く調べる警察ということでなんとなく合ってる気がするが完璧な複製の意味がよくわからない。学校教育が没個性的な人間を作ることへの批判なのか、不良少年(少女)たちが仲間に合わせて同じスタイルに染まることの没個性を言っているのか。
 「栗の木から降りたがらない」は色欲に耽ることのメタファーかと思ったが、大人になることを拒否している子供たちのメタファーと捉えた方がしっくり来ると思った。

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