動画
曲情報
「オプティミスティック」は2000年10月2日に、イギリスのロックバンド、レディオヘッドの4枚目のスタジオアルバムとしてリリースされた『KID A』に収録された曲。
歌詞の意味
You can try the best you can
君にできる限りでいい
You can try the best you can
君にできる限りでいい
The best you can is good enough
できる限りのことで十分なんだよ
トム・ヨークは2003年に、この曲のコーラスはパートナーのレイチェル・オーウェンから受け取った励ましの言葉から来ていると明かした。
またトムはライブ中に“You can try the best you can, you can try the best you can. The best you can ain’t good enough.”「君にできる限りでいい、君にできる限りでいい、君にできる限りじゃ十分じゃない」と歌ったことがある。
この歌詞は、貧困や差別、戦争などの自分だけの力ではどうやっても解決できない問題に真剣に向き合っている語り手が「君にできる限りでいい / できる限りのことで十分なんだよ」という世間一般の楽観的な態度に怒りを込めて歌っている。
This one’s optimistic
こいつは楽観的で
This one went to market
こいつはスーパーマーケットに行って
This one just came out of the swamp
こいつはたった今沼地から出てきたんだ
「スーパーマーケットに行く」は先進国に住む人間の日常性を表し、「たった今沼地から出てきた」は未開な文明で生きている人間の日常性を表しているものだとして、この世界には真剣に解決に向けて取り組むべき重要な問題があるにもかかわらず、前者は多くのことに気を取られ、程度の低い物事にばかり思考のリソースを割いており、後者はそもそも問題意識を持ったことすらない楽観的な人間のことを指していると解釈できる。
This one drops a payload
こいつは貨物から落っこちたものだ
Fodder for the animals
Living on an animal farm
動物農場で生きている動物用のための飼料だ
『動物農場』(Animal Farm)は、1945年8月17日に刊行されたジョージ・オーウェルの小説のタイトルである。この小説は当時の独裁主義や共産主義などに対する風刺的な内容だが、管理社会に対する批判的な視点も含まれている。
アルバム『OKコンピューター』の「Fitter Happier」などを見るとわかりやすいが、管理社会の中で問題意識も持たずに生きている盲目な人間に対して、レディオヘッドは批判的な立場を取っている。
政府に対しての批判はこのアルバム全体を通して多くの曲で見られるが、ここでは前文の「こいつは楽観的で / こいつはスーパーマーケットに行って / こいつはたった今沼地から出てきたんだ」と合わせて、自分の餌のことばかり気にして生きている盲目的で家畜のような程度の低い人間への批判がメインで、それに加えて、人々に問題意識を持たせないような社会システムを構築している政府に対する批判も含まれていると解釈することができるかもしれない。
Big fish eat the little ones
大きな魚は小さな魚を食べる
Not my problem, give me some
でも僕の問題じゃない、僕にもちょっとくれよ
この部分の言葉を見ると楽観的で、無責任で、当事者意識のない人間の言葉だと言うことがよくわかる。
これは怒りに満ちたトム(あるいは語り手)の主張ではなく、楽観的な人間の精神に対して皮肉を込めて表現している部分である。
I’d really like to help you, man
本当に君の力になりたいんだ、ねえ
Nervous messed up marionette
神経質で混乱したマリオネットが
Floating ‘round on a prison ship
監獄船を彷徨っている
この部分のマリオネットが誰のことを指すかだが、マリオネットは単数形になっており、文脈的にもナーバスなのは語り手のことだと思える。(楽観的な人間はナーバスとは対照的である)
しかし、マリオネット自体は政府や権力者に操られる人間たちのことか、もしくは遺伝子に刻まれる業の深さをマリオネットという言葉で表現しているのか、いずれにせよ語り手以外の大衆にも当てはまる言葉である。主人公はその中で神経質で混乱したマリオネットなのだと解釈した。
Dinosaurs roaming the earth
恐竜が地球を歩き回っている
恐竜はかつてこの地球でヒエラルキーの頂点に立ちながら絶滅した生物。この地球を我が物顔で歩く楽観的な人間たちの傲慢さと、それが人類を滅亡へと向わせていることを示唆しているのかもしれない。



コメント