【和訳】Radiohead – Paranoid Android

動画

歌詞&和訳

[Verse 1]
Please, could you stop the noise?

頼むから黙ってくれないか?
I’m trying to get some rest

From all the unborn chicken voices
In my head

頭の中でわめく鶏の胎児の声から逃れて休みたいんだ

[Chorus]
What’s that?

何だって?
(I may be paranoid, but not an android)

(私はパラノイドかもしれないが、アンドロイドではない)
What’s that?

何だって?
(I may be paranoid, but not an android)

(私はパラノイドかもしれないが、アンドロイドではない)

[Verse 2]
When I am king

俺が王様だったら
You will be first against the wall

おまえは真っ先に壁の染みになるだろう
With your opinion
Which is of no consequence at all

おまえの意見なんて全然重要じゃない

[Chorus]
What’s that?

何だって?
(I may be paranoid, but not an android)

(私はパラノイドかもしれないが、アンドロイドではない)
What’s that?

何だって?
(I may be paranoid, but not an android)

(私はパラノイドかもしれないが、アンドロイドではない)

[Bridge 1]
Ambition makes you look pretty ugly

野心がおまえを酷く醜く見せている
Kicking, squealing, Gucci little piggy

活きの良い、ブヒブヒ鳴く、グッチを着た子豚
You don’t remember, you don’t remember

覚えてない、覚えてないだって
Why don’t you remember my name?

なんでおまえは俺の名前を覚えてないんだ?
Off with his head, man, off with his head, man

奴の首を刎ねろ、奴の頭を切り落とすんだ、おい
Why don’t you remember my name?

なんでおまえは俺の名前を覚えてないんだ?
I guess he does

そうだろうな

[Bridge 2]
Rain down, rain down

雨よ降れ、降れ
Come on, rain down on me

さあ、俺のもとに降れ
From a great height

遥かな高みから
From a great height, height

遥かな高みから、高みから
Rain down, rain down

雨よ降れ、降れ
Come on, rain down on me

さあ、俺のもとに降れ
From a great height

遥かな高みから
From a great height, height

遥かな高みから、高みから
That’s it, sir, you’re leaving (Rain down)

そこまでです、サー、あなたは終わりです(雨よ降れ)
The crackle of pigskin (Rain down)

ひび割れた豚革(雨よ降れ)
The dust and the screaming (Come on, rain down)

クズと金切り声(さあ、雨よ降れ)
The yuppies networking (On me)

ヤッピーがネットワークを作っている(俺のもとに)
The panic, the vomit (From a great height)

パニック、嘔吐(遥かな高みから)
The panic, the vomit (From a great height)

パニック、嘔吐(遥かな高みから)
God loves his children

神は神の子らを愛す
God loves his children, yeah

神は神の子らを愛す、そうさ

和訳リンク

曲情報

 「パラノイド・アンドロイド」は1997年にリリースされたイギリスのロックバンド、レディオヘッドの3枚目のスタジオアルバム『OK Computer』に収録された曲。

 「パラノイド・アンドロイド」は、1996年初頭の『OK Computer』のリハーサルとセッション中に、3つの異なる曲の断片をつなぎ合わせたものだった。バンドは他にどうすればいいのかわからず、ジョン・レノンの「Happiness Is A Warm Gun」からこのパッチワーク的アプローチのインスピレーションを得た(バンドは自分たちの作品のインスピレーションとして、ビートルズの『ホワイト・アルバム』をよく挙げている)。バンドはまた、ピクシーズやクイーンの「Bohemian Rhapsody」も参照した作品として挙げている。

 「パラノイド・アンドロイド」は、『銀河ヒッチハイク・ガイド』(The Hitchhiker’s Guide to the Galaxy)に登場するパラノイド・アンドロイドであるマーヴィンというキャラクターにちなんで名付けられた。マーヴィンは天才的な頭脳を持つにも関わらず、日々反復的でつまらない活動に人生を費やされているため、いつも落ち込んでいるロボットである。彼の印象的な言葉に「ここに私は惑星ほどの大きさの脳を持っています。そして彼らは私に紙を拾うように頼みます。」というものがある。文字通り、彼は惑星ほどの大きさの電子頭脳と通信して動いている。

 アルバム名「OKコンピューターも、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の物語の別の登場人物であるザフォッド・ビーブルブロックス船長が船に降下する際に叫んだ「OKコンピューター、今すぐ完全手動制御が欲しい」という言葉に由来している。

解釈

unborn chicken voicesの意味は?

 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(原題: Do Androids Dream of Electric Sheep?)という1968年に出版されたSF長編小説のキャラクターである「チキンヘッド」から来ているのでは?という説がある。

 またこの小説を原作にした1982年のハリソン・フォード主演の映画『ブレードランナー』(原題:Blade Runner)にもチキンヘッドは登場する。この作品はサイバーパンクの世界観の基礎を築いた作品としても有名である。

 MVを見ると、初めに映るソファには漢字のような模様が書かれている。そして壁にはKISSのポスターや、ポルノのポスターがあり、サイバーパンクな世界観を意識していることがわかる。

 また、MVの中でunborn chicken voicesの歌詞が現れる部分には、国連サミットのような場での各国代表の政治家たちが映っていることから、この部分が政治批判的なメッセージであることがわかる。

Ambition(野心)のニュアンスは?

 Ambitionは日本語に訳すと「野心」だが、「富に対する強い願望」という意味もある。ここでは高級ブランドのグッチに身を包んだ女性に対しての言葉で、このニュアンスで使われている。

Gucci little piggyってひどくない?

Kicking, squealing, Gucci little piggy
活きの良い、ブヒブヒ鳴く、グッチを着た子豚

 トムがバーにいたときに、誰かが飲み物をこぼしてグッチを着た女性の服を汚した際に、その女性が悪魔の形相に変わったという実際のエピソードから来ている。今まで見たことがないような人間離れした恐ろしい表情を見たトムはその夜眠れなかったという。

 ちなみにバーではみんながコカインをやっていて頭がおかしくなっていたらしい。

you’re leavingは何を意味する?

 you’re leavingは「あなたは去る」という意味で汎用性が高いが、ここでは解雇を伝えるときなどに使われる用法に近い。

yuppies networking ヤッピーのネットワークって何?

The yuppies networking
ヤッピーがネットワークを作っている

 ヤッピーとは、都市に住んでたくさんのお金を稼ぎ、そのお金でファッショナブルなことをしたり、高価な所有物を買ったりすることに費やしている若者のこと。その彼らが(バーなどで)人脈作りをしているという意味。

 この歌詞は飲み物をこぼされて怒り狂った女性を見た夜についての出来事から来ている言葉だろう。

 ただし、インタビューで語った言葉は作詞のインスピレーションにすぎず、それがこの歌詞の本当の意味というわけではない。トム・ヨークはパラノイドを患ったアンドロイドというフィクションをミックスすることで、歌詞の中に広大な世界の広がりを生み出している。「クズと金切り声」や「ヤッピーがネットワークを作っている」などのフレーズも、多種多様なアンドロイドが大勢いて、それぞれが人間らしく、感情を持ち、人間のように馬鹿騒ぎを起こしたり、修羅場になったり、人脈づくりに奔走したり…といった極めて人間的な社会を形成している近未来SF的な世界を想像することが可能であるが、そういった解釈の仕方で見えてくるものこそが作詞者の本来の意図なのだろう。

(I may be paranoid, but not an android)

 この曲の大テーマである「パラノイド・アンドロイド」を表現したフレーズがこちら。

 「(I may be paranoid, but not an android)」(私はパラノイドかもしれないが、アンドロイドではない)

 そしてこのフレーズは機械的な音声で再生される。つまり、彼は自分をアンドロイドだと認識していないアンドロイドということになる。このフィクション要素の1フレーズが、ノンフィクション部分の歌詞の意味をファンタジーに変え、この曲にサイバーパンクでカオスな雰囲気をもたらしている。